Microsoftは2016年8月8日に、PowerApps向けの共通データモデル「Microsoft Common Data Model」のプレビュー版をリリースしたことを発表しました。共通データモデルにより、様々な業務アプリケーションデータが1つのデータベースで管理、アクセスできるようになります。以下は発表内容を和訳したものです。

Microsoft Common Data Model (以下、CDM)についての7月の発表に続き、我々はプレビュー版を本日より公開します。 CDMはMicrosoft Azureベースの業務アプリケーションモデルで、マイクロソフトの業務アプリケーションプラットフォームとしてのストレージメカニズムです。CDMは業務アプリケーションプラットフォームイノベーションの一部としての重要な役割を果たし、豊富な種類のスタンダードエンティティを提供し、パワーユーザーによるアプリケーション開発を加速させます。

Business application platform innovation

PowerApps上のCDMでは、アプリ開発者はスタンダードエンティティを利用したり拡張することができ、アプリケーションを開発するためにカスタムエンティティや、カスタムリレーションを定義することもできます。CDMのロードマップと今回のプレビュー版は、ただのスキーマの定義やストレージだけではありません。プレビューは以下の機能を提供します:

  • スタンダードエンティティ定義のプレビュー版
  • リッチなデータタイプへのサポートによる、スタンダードエンティティの拡張とカスタムエンティティの定義
  • 非開発者向けのシンプルなスキーマ定義ツールの提供
  • Microsoft PowerAppsでリッチなコントロールサポートを提供
  • Microsoft Flowとの連携
  • Microsoft Excelとのリッチな連携機能により、データの参照と編集が可能に
  • 一括データインポートとエクスポート機能

CDM ロードマップでは、継続的にスタンダードエンティティに対しての拡張と改善を行い、複数のデータ元からの連携とデータ取込機能を提供します。更に、拡張されたセキュリティなど様々な機能を提供する予定です。ロードマップについての詳細は、こちらのブログ投稿をご覧下さい(英語)

スタンダードスキーマと連携機能により、CDMは企業で展開・採用されている、たくさんの業務アプリケーションのギャップを埋めます。ただのリレーショナルデータベースではなく、業務要件を考慮したメタモデルを持っており、為替や数量単位、自動連番の項目があります。コアな業務コンセプトを標準のエンティティで含んでいるのです。

今後改良を重ねたCDMとPowerAppsの組み合わせにより、組織がカスタム業務アプリケーションを構築する方法が根本的に変わり、開発を加速させることになります。CDMの目標は、複数のシステムからのデータを基にデータをつなげ合わせ、アプリケーションを提供し、ユーザーがそれら情報をもとに的確な判断が行えるようになることです。

CDMを使ってみる

CDMはPowerAppsの管理と発行機能の一部として提供されています。PowerAppsポータルへログインすると、新しく「Entities」オプションが管理タブの中に追加されていることが確認できます。「Entities」をクリックすると、即座にCDMデータベースを作成するかの確認画面が表示され、すぐにアプリやフローで利用できるようになります。動画(英語)では、PowerAppsポータル上に組み込まれたCDM機能の概

Microsoft Common Data Modelの概要

CDMのエンティティがい展開されると、スタンダードエンティティを閲覧し、サンプルデータをエクセルからアクセスできるようになります。インタラクティブなエクセル体験により、アプリケーションを構築する前に素早く表示、編集、そしてデータの入力ができるようになります。

Excelでエンティティのデータを表示させるには、エンティティの隣にある(…) ボタンを押し、「Open in Excel」ボタンをクリックします。提供されたExcelファイルにはExcelのPowerAppsアドインが利用され、CDMからのデータを参照することができるようになります。

Excelアドインでは、データのフィルター、作成、削除と編集が可能です。Excelへデータを提供するだけでなく、アドインはCDMからのメタデータ情報を読み取り、カレンダーからの日付選択や、関連データの参照等のリッチなデータ入力機能をアドイン画面から提供します。

スタンダードエンティティと拡張性について

今回プレビューとしてリリースする、初回版のCDMでは、豊富なエンティティ種類を提供します。これらのエンティティは5つの機能グループに分類されています。

機能グループ

説明

Foundation
(基礎)
このエンティティではその他グループでも利用されるような関連性を持つデータが含まれます。このグループには住所や通貨などのエンティティが含まれます。
People, organizations, and groups
(人、組織とグループ)
これらのエンティティはあなたが日々携わるような人や組織を管理するためのエンティティで、従業員、契約先、ドナー、ボランティア、ファン、同級生、家族などが含まれます。
Purchasing
(購買)
Purchasingエンティティでは、購買ソリューションが作成できます。
Sales
(販売)
Salesエンティティでは、統括した販売ソリューションが作成でき、リードや営業案件の追跡、連絡先へのフォローアップ、受注や出荷、請求などが含まれます。
Case management
(問題管理)
Case Managementエンティティではお客様からの問題を管理し、追跡、エスカレーションやドキュメント化などを管理します。

スキーマについての詳細はこちらをご覧ください:CDM Entity Reference

PowerAppsポータルからのエンティティ管理機能やExcel連携機能を体験し、スキーマを実際に参照されることをおすすめします。

フィードバックをご提供頂ければ、あなたのご要望を理解し、次のアップデートで反映することができます。

CDMを使ったアプリを作成してみる

CDMのスタンダードエンティティを利用してアプリを開発する方法が2つあります。

  • データからアプリを作成する方法ではCDMデータソースへアプリを接続し、自動でアプリを作成する方法です。
  • アプリを作成 では空白のアプリ画面からカスタマイズして、CDMデータへ接続することが可能です。

CDMはPowerAppsの純正なデータソースとなるため、アプリケーションを作成する際にコネクターの設定をする必要はありません。動画(英語)では、CDMを活用したアプリの作成方法の概要をご紹介します。

他のユーザーとアプリを共有する

PowerAppsのプラットフォームで作成された他のアプリと同様に、CDMベースのアプリも同組織内の他のユーザーやセキュリティグループへ共有することが可能です。このプレビューでは、アプリを共有する際に自動で権限が設定されるようになっていますが、将来的には設定を追加し、エンティティ単位、項目単位、レコード単位での権限設定を実装する予定です。データ認証はサーバーティアレベルで行われるため、認証されたユーザーは共有されたアプリのCDMデータのみにアクセスできるようになります。

総括

アプリを作成、共有し始め、スタンダードエンティティを参照したり、カスタムエンティティを作成するにあたり、簡単に展開・カスタマイズ・共有できる業務データストアによるメリットについて考えてみてください。CDM プレビューは業務データストアを提供し、それ以上のものを提供します。 標準的なエンティティがあり、データ管理ツールや、標準的なセキュリティ機能もあります。これはプレビュー版でまだ始まったばかりであることは我々も理解しています。そのため、我々は頑張って機能拡張を進めています。さらに新しいデータタイプやエンティティデータブラウザやエディタ、エンティティ定義機能等、より多くの機能を提供する予定です。バージョン1.0のエンティティ定義は、PowerAppsの一般公開と併せて提供される予定です。

公開プレビュー版のCDMは本日よりご利用いただけますので、まずはpowerapps.comからサインアップしてください。PowerAppsでCDMを利用し始めたら、PowerApps コミュニティサイトから質問や、提案、フィードバックをお送りいただけます。皆さまのフィードバックをお待ちしております。

情報元: https://powerapps.microsoft.com/en-us/blog/cdm-preview-available-for-powerapps/