Microsoft Power Platform 関連で Copilot や GPTの発表は今年になって急激に増えてきましたが、これまでは技術的な発表が多く、「そもそもこれを業務取り組むにはどうすればいいの?」という点においてはそこまで多くなかったかと思います。

5月末より吉田は世界中のローコード(Power Platform)と Copilot・生成型 AI(MS的にいうGPT全般のこと)の事例等を統括する専任担当となりました。そこで今回は、Power Platform のようなローコードツールとGPTやCopilot のような生成型AIを組み合わせてどのように業務で利用できるか?を概要レベルで投稿します。※この投稿ではGPTは使ってません。念のため。

Copilot は大きく2種類に分かれる

3月16日以降、マイクロソフトはたくさんのCopilot 関連を発表してきました。その中でも Power Platform の場合は大きく2つに分かれます。

作成者 Copilot と ユーザー Copilot です。これら2つについて解説していきます。

作成者 Copilot は、Power Apps のアプリにあたって作成を支援してくれる、Power Automate でフローを自動生成してくれるような、作成過程を支援してくれる Copilot を意味しています。

ユーザー Copilot はエンドユーザーがアプリや作られたソリューションでGPTなどの生成型AIを利用するときの機能を意味しています。AI Builder のGPTモデルや、Power Apps の画面パーツとして埋め込めるようになった Copilot コンポーネントがこのユーザーCopilot に該当します。

組織はプロンプトエンジニアリング云々の先へ進まなければいけない

昨今GPTでよく話題になるのがGPTからより適切な応答を得るための「プロンプトエンジニアリング」についてですが、すでにガイドなども出てきている以上、このプロンプトエンジニアリングを個別の会社が独自に検証するのは時間の無駄になると個人的には思います。では各組織で何を考えないといけないのかについては以下の軸をの方がより重要なのではないか?という点を挙げてみました。

組織での運用・ガバナンス設計

GPTとローコードは多くの共通点があります。ITにとって、GPTやローコードは不適切な運用によって情報漏洩が知らずに行われるリスクがあります。そして、まだGPTでは問題視されていませんが、「GPTがあるから無駄に使う」という課題もいずれは出てきます。RPAやローコードアプリもそれら技術があるからエンドユーザー側で特に深く考えることなく使い、あとで保守が大変といった話も出てきます。

GPTはさらにマクロのような属人化の性質を持っています。「経理部の田中さんはプロンプトエンジニアリングのセンスがいいから彼女に任せている」というような話はまだ今は数カ月しか経過していないから起きていませんが、時間の問題です。そこで、会社・組織としてはプロンプトを最低レベルで実現するためのプロンプトを集約することが今後必要となってくるのはないでしょうか?

ローコードだからこそエンドユーザーでも安全に使えることがある

ChatGPTを直接利用させるだけだと、会社情報をそのまま投稿するエンドユーザーも少なくはないと思います。そこで、Power Apps や Power Virtual Agents をエンドユーザー向けのUIとして提供する案が出てきます。これを行うことで、いくつかメリットが出てきます。

  1. 実行されたプロンプトのログを組織として保持でき、不正利用がないか、Jailbreakを行おうとしていないか監視できる
  2. プロンプトを保持することでプロンプトの組織内ベストプラクティスを自然に集められる
  3. 誰が頻繁に利用しているのか、誰が質のいいプロンプトを作っているかを可視化できる
  4. プロンプトをテンプレート化して利用させることができる
  5. Azure OpenAIをバックに利用するので、プロンプトが学習データとして利用されない&通信がMicrosoft データセンターで完結する

定型化された業務はプロンプトエンジニアリングすら必要なくなる

ある程度定型化された業務の場合、そもそも都度プロンプトを書くというステップ自体が不要となります。例えば、私が趣味で作った車メーカーMazdaの営業担当向けアプリを例にしてみたいと思います。ここでは、営業担当がお客様から訪問があった際にフォローアップメールを毎回売っていたとしましょう。その場合に営業担当がプロンプトを書いて「いい感じの営業メール」を作るというステップを踏むことになるわけですが、ローコードの場合はさらにそれを簡単に自動化できます。

Power Automate で業務フローのステップとして組み込める

Power Automate でAI Builder に搭載されたGPTアクションを組み込むことで、前段のステップでデータを渡してそのままプロンプト結果を業務の一部として組み込むことができます。

Power Apps でアプリの機能の一部として組み込める

Power Apps でもAI Builder に搭載されたGPTモデルを活用することができます。以下の画面のように、ボタンを押す際にメール本文を自動生成してくれることがわかります。ここでは、ボタンを押す前のステップで記入していたテキスト項目や、選択されていた色を考慮したうえで動的に回答を変えていることがわかります。このように、単純にプロンプトを活用するだけにとどまらず、業務の中にローコードを組み合わせることで、エンドユーザーはプロンプトエンジニアリングそのものを考える必要もなく、GPTを活用し、業務効率化が図れるのです。

すでに Power Platform とCopilotやAI Builder を利用されていますか?もしよろしければ吉田まで共有ください! https://aka.ms/ShareAIStory

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※この投稿はあくまでも吉田の個人的見解です