2016年11月1日にリリースされたコーディングレスでアプリを開発できるMicrosoft PowerAppsと、Dynamics 365 for Sales(CRM)を組み合わせて、営業担当者向けの顧客リストアプリを開発してみます。まだ、どちらの製品をお使いでない場合でも、今回は無償トライアルの登録方法から順にアプリの作成方法をご紹介します。

Microsoft Dynamics 365(プラン1)試用版登録

まず、Microsoft Dynamics 365の登録から始めます。Dynamics 365プラン1にはCRM機能のDynamics 365 for SalesとPowerAppsの両方が含まれているので、これを登録すれば、どちらの試用版も利用可能になります。

https://www.microsoft.com/ja-jp/dynamics365/sales へアクセスし、「試してみる」をクリックします。

各項目を記入します。すでにOffice 365を利用されている場合は、「既存のサブスクリプションに追加しますか?」をクリックして、連携させることも可能です。

次にユーザーIDを登録し、「アカウントの作成」をクリックします。

本人確認のため、電話番号を求められるので、入力します。携帯に一時的な6桁の番号が通知されますので、その番号を画面に入力します。

「設定」ボタンを押すと、試用版環境の構築がはじまります。

ここからサンプルデータを登録できます。今回は「これらのすべて」にチェックをいれて、「セットアップの完了」を教えてください。

これで試用版の登録が完了しました。次は実際にPowerAppsを利用してみます。

PowerAppsの作成

それでは、PowerAppsで実際にアプリを開発していきます。

環境準備

開発するには、事前にPowerApp Studioをパソコンにインストールしておきます。ブラウザー上からでも直接アプリを作成することはできますが、現在はまだベータ版の段階です。

画面左上のアプリボタンを押して、「PowerApps」をクリックします。

これがPowerAppsの画面です。専用のデザイナー(Windowsのみ)から開発するので、画面右上のダウンロードボタンを押します。

「Windows用のPowerApp Studio」をクリックします。

別のタブまたはウィンドウで、Windowsストアが表示されます。「アプリをゲット」をクリックします。

Windowsストアアプリが立ち上がります。「インストール」をクリックします。このアプリのインストールは無料です。

「起動」を押して、アプリを実行します。

ログインが求められるので、最初にDynamics 365の試用版で登録した、メールアドレス(会社のアドレスではなく、 xxxxx@oooo.onmicrosoft.comのようなアドレスを入力します。

パスワードを入力し、「サインイン」をクリックします。

これでPowerApp Studioが立ち上がりました。さっそくアプリを作成したいので、「新規」をクリックします。

今回は、Dynamics 365のデータを利用して、アプリを作成するので、PowerAppsに用意されている、Dynamics 365のテンプレートを利用します。「携帯電話レイアウト」をクリックします。

「接続」をクリックします。

PowerAppsのログイン情報で、すでにDynamics 365の接続もログインされた状態となります。「データセットの選択」では、テナント名を選択します。(1つしか表示されていないはずです)

今回は取引先企業を閲覧できるアプリを作るので、「テーブルの選択」画面では、「取引先企業」を選択し、「接続」をクリックします。

以下の画面が表示されている間に、アプリが自動で開発されます。数十秒待ちます。

一覧画面の設定

作成されると、以下のように表示されます。

アプリで表示させる各画面のページのことを、PowerAppsでは「スクリーン」と呼びます。テンプレートからアプリを開発した場合、PowerApp Studioは自動的に3つのスクリーンを作成してくれます。

スクリーン名 用途
BrowseScreen1 データの一覧が閲覧できる画面。一番最初に立ち上げるとこの画面が表示される。
DetailScreen1 選択したデータ(レコード)の詳細が確認できる画面。
EditScreen1 選択したデータ(レコード)を編集できる画面。新規作成時にも利用。

まずこのBrowseScreen1の大まかなデザインを決めるため、画面右側のレイアウトの画面から、表示レイアウトを変更します。今回は上から2番目の右にあるデザインを選びました。(お好きなレイアウトを選んでいただいて大丈夫です)

次に、各表示項目を設定します。変更したい項目をクリックし、画面右のオプション設定から、項目を設定します。

詳細画面の設定

次にDetailsScreen1の表示項目を変更していきます。ドラッグアンドドロップで項目の表示順を変更し、表示・非表示の設定は、目のアイコンをクリックします。

編集画面の設定

次に編集画面(EditScreen1)の設定です。こちらでも同じくドラッグアンドドロップで項目の表示順を変更し、表示・非表示の設定は、目のアイコンをクリックします。

大まかなアプリ設定が終わったところで、デザインを変えてみましょう。「ホーム」タブから「テーマ」をクリックすると、アプリのデザインが変更できます。

アプリのプレビュー

PowerAppsのいいところは、通常のシステム開発とは違い、設定したらすぐにプレビューすることができます。画面右上の「アプリのプレビュー(再生ボタン)」をクリックします。

そうすると、画面がアプリのように動きます。こちらで直接テストすることが可能です。プレビューを終了したいときは、画面右上の大きな×をクリックすれば編集画面に戻ります。

アプリの名前・アイコンを設定

次にアプリの名前、アイコンを設定します。

この設定は後に利用者がアプリを選択するときに表示されるので、わかりやすい名前と説明を設定されることをおすすめします。

アプリを保存します。「クラウド」を選択し、「保存」を押します。ここで保存すると、iPhoneやAndroidでもアプリがアクセスできるようになります。これでアプリの作成は完了しました!

アプリの共有

アプリが開発できたので、次にアプリをほかの利用者と共有する必要があります。

共有はPowerApp Studioからはできないので、ブラウザー上で設定します。

まず、PowerAppsのサイト( https://web.powerapps.com/ )へアクセスし、作成したアプリの右にある「・・・」をクリックし、「共有」をクリックします。

共有画面が表示されます。ここで利用者のユーザー名か、所属するグループ名を設定することで、利用者を追加していくことができます。設定を終えたら、「保存」を押して完了です。

アプリの利用(ブラウザー)

開発したアプリは、「マイアプリ」として、Dynamics 365のアプリ選択画面からアクセスできます。

また、Dynamics 365のホーム画面( https://home.dynamics.com )からもアクセスできるようになっています。

起動すると、そのままブラウザーから利用できます。

アプリの利用(iPhone)

iPhone向けに専用のPowerAppsアプリが用意されているので、それを利用してみます。


App Storeから「powerapps」と検索します。

ダウンロードとインストールが開始されます。

「開く」をクリックします。

Dynamics 365のアドレスを入力します。

 


Dynamics 365のパスワードを入力します。

通知への「許可」をタップします。

 


作成したアプリをタップします。

 


ダウンロードが始まるので、しばらく待ちます。

これでアプリが利用できるようになりました。

アプリの利用(Android)

Android向けにも専用のPowerAppsアプリが用意されているので、それを利用してみます。


Googleストアからインストールをタップします。

アクセス権限に同意します。

開くをタップします。

Dynamics 365のパスワードを入力します。

Dynamics 365のパスワードを入力します。

作成したアプリをタップします。

ダウンロードが始まるので、しばらく待ちます。

これでアプリが利用できるようになりました。