Microsoft Envision 2016 – CRMの未来:キャンペーンからコマースへの移行
Microsoft Envision 2016で発表されましたセッションの1つ、「The future of CRM: Moving from Campaign to Commerce」についての日本語ダイジェストです。
発表者:R “Ray” Wang氏
情報元:https://www.youtube.com/watch?v=8geBxD35syQ
2000年にフォーチュントップ500で記載されていた52%の企業はもうフォーチュンに記載されていません。
それはなぜか?ビジネスモデルが変化したのです。
今では平均的にたった3社の競合する会社がデジタル化に対応し、全シェアーの7割の利益を得ています。
時代はポストセール、オンデマンドかつ要求の高いエコノミーへと変化してきました。
売ることが重要なのではなく、売った後も重要になっているのです。
つまり、もはやCRMだけ考えるのは無理があります。CRMの先を考える必要が出てきたのです。
会社によっては、もはや「CRM」という言葉さえもタブー視されています。
今までに55%以上の会社がCRM導入は過去に失敗してきました。
その理由は:
- 取引別で
- データ
- いろんなシステムを使いすぎ
- 機能別になりすぎて、縦割りになっている
ERPはデータを「きれい」にして、「箱の中を埋めていく」いった感じですが、CRMはそうではありません。CRMは人が関与します。つまり、必ず同じプロセスで業務なんかできないのです。
今までのCRMは、以下のようなイメージでした。
マーケティング、セールス(SFA)と保守の3つでしたね。
ではコマースはどうなるのでしょう?
そもそもコマースとは?
10点の複雑な要件
正しい製品やサービス
正しい数量
正しい構成や色
正しい品質
正しい供給元
正しい条件やパッケージ
正しい文書やマニュアル
正しい時間軸
正しいコスト
正しい頻度
をすべて満たしたときに、「完璧な注文」になります。
分解して、コマースでは以下のことを考える必要があります。
キャンペーンで重要なのは:
・プロモーションに対しての投資対効果や、返答までの投資率等
案件から受注で重要なのは:
アップセル率、クロスセル率、販売回転率等々・・・
受注から入金では:受注率の最適化等
問題から解決までは:解決時間、解決満足度、保証の最適化など
・・・とやっていることは実はCRMでやれることすべてなんですね。
更に細かく分解すると、実際に「完璧な受注」とはこれら20項目を満たしたときなんです。
販売までだけでなく、アフターサービスも重要なのです。でも各業務はいちいち考えたいのではなく、重要なのは・・・
変換率の改善です。それをいかに成功させるか。
成功させるには「カスタマーエクスペリエンスをすべて個人別の要求に合わせる」ことが重要になります。
無茶に思えますね・・・
以下6つの視点を満たせば、継続的なエクスペリエンスが提供できます。
・販売チャンネルという概念の廃止:もはや市場別という概念はありません。
・構成や環境:正しい場所や環境が重要です。
・コンテキスト(条件)の関連性
・「冒険」の選択肢
・目的に沿ったデザイン
・経験的知識に基づくコンピューティング
ではまず、コンテキストから話しましょう。
以下図の中でもカスタマーエクスペリエンスにおいて4つのポイントが重要です。
顧客との関係、時間、場所、天気です。
次に、「旅の種類」です。
受注へ結びつける「旅」の種類は5種類に分けられます。
最高のカスタマーエクスペリエンスを提供するためにすべて1から10までお客様を導く方法(Prescribed)もあれば、お客様にセルフサービスで経験してもらう方法もあります(Self-learning)。
目的に沿ったデザインについてお話ししましょう。
例えば毎朝飲んでいるコーヒー。どこで買いますか?
コーヒーを買うにもチェーン店で買ったり、ドライブスルーで買ったりと、何通りもありますよね。
毎朝電車で通勤して、会社の近くのコーヒーチェーン店で買うことが日課だったとしましょう。では、その日が30℃の真夏日で、アイスコーヒーを提案した場合、買いたいと思いませんか?
このように都度条件に応じて何種類かの選択肢を出し、選択された結果をどんどん分析データとして積み上げ、各個人の購買動向を別々で学習していけるようになります。
Cortanaなどの機械学習で提案したりすることが可能になるのです。
データを蓄積することが重要なのではありません。
それらを用いて判断することが重要なのです。
電力供給会社GEは8日から10日前に、電線が切れることを予測しています。
それが可能なのは、気温や、電線導入会社、天気等すべてを分析して予測しているのです。
ディズニーはいい例です。
ディズニーだと普通の遊園地より少し高くても、「ディズニー」だから払おうと思ってしまいますよね?
ディズニーでは数億円投資して、手首につける「マジックバンド」システムを導入し、行動をすべて記録しているんです。レストランでの購入履歴、訪問したアトラクションなどsべて記録して、常にカスタマーエクスペリエンスを改善しているんです。
ということで、データが非常に重要だということがわかりますね。
そしてデータをもとに行動が変わるということです。
今まで話してきたことは顧客管理でも、マーケティングでも保守でもないですよね?
すべてはカスタマーエクスペリエンスについてです。
少し話が変わりますが、最近の傾向として、企業の寿命は15年前後にまで下がってきています。
「デジタルダーウィン化」が進んでいるんです。新しいカスタマーエクスペリエンスを与えれない限り、生き残れない世界になりつつあるのです。
営業・経営側とIT側では重視している箇所が全然違います。
営業・経営側はシンプルで、大量に展開できて、セクシーなビジネスモデルが求めています。
IT側は安全で、セキュアで、継続可能なビジネスを求めています。
では、もし営業・経営側の意向が強かったら、IT側ではセキュリティが!といった課題が出てきてます。
逆に、IT側の意向が強かったら「ERPの導入が終わった!」と喜んでいる間に営業側はどんどんトレンドからずれていく心配をしなければいけません。
お客様の要求を満たすには、ITとビジネスは常にチームプレイが必要になります。
ビジネスは常に流動的ですが、ITはステップごとに「アップグレード」していきます。
カスタマーエクスペリエンスの世界では、どんどん要求のスピードが早くなってきています。傾向として、IT側ではアップグレードするまでの時間がどんどん短くなってきています。
ではこのスピードにどのように追いつくか。
・エクスペリエンスと結果を重視する
・デジタルな考えを広める
・新しいビジネスモデルとITモデルを確立する
・データを活用して、データ(コンテキスト)を根拠として判断をする
・適切なパートナーを見つけ、協業していく
の5点が必要なのです。
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