PowerAppsの2018年10月度リリース予定のアップデート情報について、まとめました。実際にはPower Platform関連のみで190種類以上の機能強化が7月でも発表されていたということもあり、このまとめではその中でも主要なアップデートについて触れています。

すでに多くのアップデートはプレビュー環境へ配信されており、他はすでに本番環境へも配信されつつあります。詳細について深掘りする前に、今回のアップデートで主に優先した点についてお話します。

  • 品質の向上:PowerApps はコアプラットフォームにおいて改良され、今まで以上に速く、より信頼性が高いものとなりました。アプリ作成者と管理者向けに、「皆さんの」エンドユーザー様に向けて高品質の体験を提供します。 アプリチェッカーとソリューションチェッカーはリッチなガイドも搭載します。さらにPowerApps Preview プログラム に参加することで、本番へ変更が反映される前にテストすることができます。詳細はこちらから(英語)
  • プラットフォーム統一に向けて、さらにパワフルなCDSベースのアプリ。今年の初めに、Dynamics 365をベースとした、 Common Data Serviceに関する様々な新機能の発表を(英語)行いました。 この統一に向けてさらに動いており、これら2つのプラットフォームが組み合わさった、さらに強化された機能を構築しようとしています。PowerAppsやMicrosoft Flowで作成したソリューションを、Dynamics 365と同じアプリライフサイクル管理方法で管理可能となり、キャンバスアプリをモデル駆動型アプリのなかに埋め込み、データ連携がさらに簡単になりました。
  • より生産性の高いアプリ作成:業務アプリをいかに素早く作成できるかはPowerAppsにおける重要なポイントです。そこで我々は継続的にアプリ作成者がより多くのことを、複雑さを押させつつ提供できるようにしてきました。新しいスクリーンテンプレートにより、さらに簡単にアプリ作成が可能となり、CDSのコンポーネントのデザイナーやさらに簡単なフォームのカスタマイズ等、より多くの改善が今後も継続的に行われます。
  • 素晴らしい利用者体験: PowerAppsは単純にアプリを早く作るためのものではありません。世界トップクラスの体験により、皆様の部門がより効率よく(そして楽しみながら)できることが目的です。Dynamics 365のユニファイドインターフェースとモデル駆動型アプリには新しい機能が追加され、さらに速いパフォーマンスとシンプルなUXになります。キャンバスアプリには新しいコントロールやテーマ、カスタムサイズなどといった機能も追加されます。
  • 大幅に強化された管理・統制機能:PowerAppsは様々なお客様で採用されており、我々はIT管理者が正しく運用・統制をとりつつ、利用者の利活用を低下させないようにしています。管理者はよりリッチな分析機能により、プラットフォームがどのように利用されているかを把握することができ、PowerAppsとFlowを利用して、PowerAppsとFlowを管理することができるようになりました。

品質の向上

ソリューションチェッカ-を利用し、リスクとガイダンスを得ましょう。 モデル駆動型アプリの作成者とDynamics 365のカスタマイズ担当が複雑なソリューションを構築すると、デバッグと診断が難しくなります。このソリューションチェッカ-を利用することで、パフォーマンスと安定性のリスクを特定し、場合によっては1行レベルでどのような問題が発生し得るかを特定します。問題点は詳細なレポートをダウンロードすることで確認でき、どのように解決すれば良いかが提示されます。ソリューションチェッカ-は現在プライベートプレビューで公開されており、来月にはより多くの方が利用頂ける予定です。


インラインで利用方法についてアプリチェッカーからヒントを表示 – ソリューションチェッカ-はアプリチェッカーと同じような動きで作成されており、PowerApps スタジオから関数や、アプリのアクセシビリティの観点と、改善点を提案します。アプリチェッカーはすでにご利用可能です。


プレビュー環境で新機能を事前に試す。新しい機能へ早めにアクセス(英語)し、本番環境へリリースされる前に動作を確認することが可能になります。

組み込まれたアプリの起動時間の短縮。過去数ヶ月間の開発は主にパフォーマンスと信頼性の向上を重点的に強化することに焦点を置いてきました。その一つがSharePoint Onlineなどに組み込まれた場合のパフォーマンスです。組み込まれたフォームは、体験を大きく影響します。現在これらのアップデートにより大幅に起動時間が短縮されています。

Concurrent() 関数でデータの読み込み時間を短縮。データの読み込み時間を改善するだけで、アプリの起動時間が短縮することがよくあります。OnStartやOnVisibleといったプロパティでたくさんの読み込み処理が実装されていると、アプリの起動時間が大幅に遅くなります。新しいConcurrent()関数により処理が並列となるため、この問題が解決されます。

CDS上でのアプリ作成がさらにパワフルに

アプリライフサイクル管理の機能がソリューションという形で強化

これにより、キャンバスアプリもフローもDynamics 365 for Customer Engagement と同じソリューションインフラストラクチャーに含めることが可能となりました。これにより、今まで提供されていたインポート・エクスポート機能よりも大幅に機能強化され、すべての機能を一つの方法で移行したり、Microsoft AppSourceへも発行することが可能になります。


ソリューションの参照もすべてPowerApps.com内で実施可能となりました。これにより、簡単にどのアプリ・フローをソリューションに含めるのかを選択できます。アプリ作成者、システムインテグレーター、ISVはこれらのインポート・エクスポート機能を活用し、環境を跨いだアプリの管理等が可能です。この機能はプレビューとして10月1日に一部お客様へリリースされ、各国のエリアにも随時配信されていく予定です。 

エンティティフォームのUIを簡単にカスタマイズし、キャンバスアプリも埋め込み可能に。 アプリ作成者やDynamics 365の開発者は、今までのエンティティフォームに対して他のカスタムコントロールと同じようにキャンバスアプリも埋め込むことが可能となりました。現在表示しているレコード、関連するレコード、または関連のレコード一覧をキャンバスアプリへ渡すことができます。これにより作成者はよりリッチなUIでセクションやグリッド、そのほかの画面をUI用のカスタマイズコーディングを一切行わずに実現できます。さらに、キャンバスアプリに搭載されているリッチなコネクター機能により、200以上のデータソースとも組み合わせられます。この機能はまずはプライベートプレビューのお客様から配信され、さらにより多くのお客様へも数週間後に配信していく予定です。


CDSでより簡単にリレーショナルデータを扱う

リレーショナルデータ(構造化されたデータ)はどの業務アプリでも必須となるものですが、必要な情報を得るためにクエリやジョイン、キーなどをPowerApps上で取り扱うのがやや困難でした。コードの表現力とCDSコネクターを大幅に強化し、これらの作業が大幅に簡単になります。今まで、たとえば取引先一覧から関連する連絡先を組み合わせようとするとLookup()関数を用いてつなげあわせれう必要がありました。

これからはその代わりにThisItem.PrimaryContact.LastName と書くだけで実現できます。連絡先をデータソースとして、追加する必要すらありません。PowerApps側が自動的に必要な参照を行い、必要な項目を取得します。10月後半にこれらとCDS関連のデータの取り扱い機能が強化され、オプションセットの取り扱いについてもこのタイミングで合わせて強化される予定です。さらにGUID データタイプ (CDSとSQL)へ対応し、関数で表示名の指定も可能になりました。

CDSでの添付

今年の前半ではSharePointに対する添付機能を発表しましたが、今回は同じ機能をCDSでも可能となりました。写真やファイル、ドキュメントを直接CDSのレコードに追加することもこれにより可能です。

アプリ作成者の生産性がさらに向上

スクリーンテンプレートで素早くアプリを作る

PowerAppsキャンバスアプリでは、新たに標準テンプレートとして追加されたスクリーンを活用することにより、メール送信、会議調整、人の検索などがより簡単になりました。これらのテンプレートはMicrosoft Graphと自動的に接続されており、関数を書かずに、部品もいちいち追加せずとも数クリックだけで設定できます。スクリーンテンプレート機能はプレビュー機能としてすでに公開しており、ここから先数週間かけて一般公開されます。

新しいビューデザイナーを追加し、アプリモジュールとサイトマップデザイナー機能が強化

モデル駆動型アプリの作成体験を、よりプラットフォームとして良い体験を提供できるように注力してきました。次の新しいステップとして、Common Data Serviceでのエンティティ向けに新しいビューデザイナーを追加します。このデザイナーは既存のものよりも大幅に改善されており、フィルターやソート内容はライブプレビューで表示可能になります。さらに、列の幅や列のソート機能をよりSharePointやExcelに似た作りにし、素早くほしいビューに変更することができます。すでに最終テスト段階まで開発は進んでおり、10月中旬に公開する予定です。

新しいビューデザイナーに加え、アプリとサイトマップ機能を改善します。今回のアップデートによりアプリを実行しながら編集が可能となり、さらに部品(コンポーネント)を簡単に追加・編集することができます。サイトマップデザイナーを強化し、アイコンはSVG形式のものも対応しました。

誰でも使えるようにするために、アクセシビリティへ対応

PowerAppsのコアなミッションは誰でもアプリが作成できるようになることであり、それは障害をお持ちの方も含めてです。過去数カ月にわたり、我々はアクセシビリティを改善してきました。今回のアップデートでは、キーボードのみで操作できるようにすることと、スクリーンリーダーの技術をPowerApps.com内で活用できるようにしました。

項目の選択、フォームの編集を改善し、ドロップダウンも関数なしで設定可能に

PowerApps Studio内でのフォーム、ギャラリーまたはデータテーブルで設定する項目の設定方法を改善しました。これから先数週間で公開していきます。さらに他のコントロールの結果を参照するドロップダウンとコンボボックスの設定をより簡単にしました。CDSやSharePointではよく利用するシナリオですね。以前はFilter()関数を書くしかありませんでしたが、このアップデートにより、キャンバスのプロパティ(画面右側)から数クリックで設定できるようになる予定です。

ツリービューとグループコントロールの強化

PowerApps Studioのツリービューを改善し、パフォーマンスはもちろんのこと、アプリでの操作性も改善しました。これにより、どのセクションも展開・最小化することができ、ドラッグアンドドロップで入れ替えたりなども可能です。さらにグループ機能をただのグループ機能ではなく、eエンハンストグループとしてアプリの実行時にも反映させたことにより、キーボード操作時の順序や、各コントロールの配置を相対的に設定することができるようになりました。これらの強化点はすでに公開されています。


自動書式設定とコメント機能による強化された関数機能

PowerApps Studioの関数バーが成長しています!設定した長い関数を自動的にフォーマットさせることでより読みやすいものにし、コメントを追記することが可能になったことで、書いた関数に対する解説を追記できるようになりました。これらコメント機能は新しく追加されたスクリーンテンプレート機能でもコメントが記述されており、どのように動作するかの説明が確認できます。書式設定機能もコメント機能もすでに一般公開されており、これからより多くの機能をさらに関数に追加していきます。

関数一行で通知機能をアプリに追加

シンプルな通知を表示させるためだけに、複数の隠しコントロールや変数、複雑な関数を設定する必要はなくなりました。新しいNotify()関数を利用すると、キャンバス内で実行したアクションに対する通知として利用できます。さらにアプリ作成者はどの種類の通知を表示させるか、4種類から選択できます(赤:エラー、緑:成功、黄:警告 等)

エンドユーザー体験がより素晴らしいものに

モデル駆動型アプリとDynamics 365アプリのユニファイドインターフェースが強化

ユニファイドインターフェースとは、モデル駆動型アプリとDynamics 365アプリで採用されている画面のことで、常に改善されています。ここ最近は様々な機能改善を追加しており、参照機能の改善や、フォームの選択機能、ウェブクライアントとのハイブリッド構成等です。さらに今回の10月度のアップデートでは、サイトマップナビゲーション機能の強化とコマンド処理を改善しており、ユニファイドインターフェースをデファクトスタンダードとして、利用いただけます。


キャンバスアプリをどんなサイズでも

PowerAppsがSharepointやDynamics 365、モデル駆動型アプリやMicrosoft Teamsで埋め込まれたりすると、通常のアプリのサイズとは別のサイズで設定できることが重要になります。今回のアップデートにより、アプリ作成者はアプリをカスタムサイズで作成することでSharePointのウェブパーツでも、4Kのモニター用にでもアプリが完全にマッチするものが作成できるようになりました。


機能強化されたテーマ

新たに 8つの新しいOffice 365のようなテーマを追加したことで、SharePointの中へ埋め込んでも自然なデザインに見えるようになりました。既存のPowerAppsのスタンダードテーマに加え、コントラスト対応したものも追加されています。

リッチテキストを編集

リッチテキストエディタのコントロールが試験的機能として追加され、テキストに対する書式設定が視覚的に確認できるようになりました。コントロールの入力・出力のフォーマットはいずれもHTML形式となっており、ブラウザーやワードでコピーした内容をそのままコントロールの中に貼り付けることが可能になりました。

拡張された管理者向けの管理と分析機能

管理者向けの新しい分析機能

Power platform 管理者センターがプレビュー機能として公開されました。この第一段階として、管理者はアプリやフローに対するアプリの新規利用者数、エラーレポート、パフォーマンスレポートが確認できるようになりあmした。時間の経過とともにPower platform 管理センターはPowerApps、Microsoft Flow、Dynamics 365ようの統合された管理場所として利用可能となり、サポートもこちらから問い合わせ可能になります。

PowerAppsとFlowを…PowerAppsとFlowで管理する

近日公開した、PowerAppsとFlow向けの管理コネクターにより、プラットフォームを管理し、利用状況などを確認できるようになりました。例えば、Microsoft Flowを利用して、定期的に新しいアプリやフローの一覧を送付したりすることが可能です。

Microsoft Flow for Admins

PowerApps for App Makers

Power platform for Admins

PowerApps for Admins

管理とガバナンスのためのベストプラクティス

数千人、数万人規模のお客様はどのようにPowerAppsを管理し、ガバナンスをとっているか気になりませんか?セキュリティや環境管理、アプリライフサイクル管理などの観点からはどのように考えるべきでしょうか。Microsoft ITチーム(Microsoft全拠点を管理する社内ITチーム)との協力により、我々Microsoft自身が実施している様々な管理手法に関する情報をまとめました。日本語版は近日公開予定ですが、英語版はPowerApps and Flow Governance and Deployment Whitepaperから入手できます。

2018/10/22更新: 日本語版の「PowerAppsのガバナンスと管理 ホワイトペーパー」はこちらから入手できます: aka.ms/powerappsadminwhitepaperjp

情報元: https://powerapps.microsoft.com/ja-jp/blog/october-updates/