今年もやってきました、Microsoft パートナー向けのフラッグシップイベント、「Microsoft Inspire 2023」が今日と明日の2日間開催されます。

この投稿では吉田がレドモンド現地から、Satya Nadella 氏のキーノートでの発表内容をお送りしたいと思います!

イントロ

「すべての人をエンパワーし、より多くのことを達成できるように」するには、我々に何ができるだろうか?

まずはじめに一人の従業員から…

一つのチームに

そのチームがほかのチームとコラボレーションを図り

一つのパートナーから

その(パートナーの)お客様に

そしてそのお客様のお客様に

あなたのパッション
あなたの創意工夫
あなたのがんばり

インクルーシブな機会を支援し、

人権を守り、持続性のある未来を作り上げ

信頼を得る

社会、そして経済のために

そしてそれらは我々が与えられる80億人に向けたエンパワーメント

私たちは新しいAIの時代に突入し、想像するスピード同じぐらい早く作り上げることができ、クリエイティビティは無限に広がる

そしてより広い世界を見ることができ、一緒にやることで全員がその恩恵を受けることができるようになる。

どの国でも、どの産業でも、どの人でも。
すべての人をエンパワーし、より多くのことを達成できるようにする。つまりそれは世界をエンパワーすることを意味するのである。

はじめに – Satya Nadella

Inspireに戻ることが光栄です。我々が様々な大陸、 国、 産業に提供し、お客様に対するコミットメント、お客様に提供できるイノベーション、そしてお客様に(サービスを)提供できることを再認識し、プラットフォームの会社として、このエコシステムのMicrosoft パートナーたちと一緒に集まることが最も重要なことです。そして技術的観点だけではなく、このエコシステムのエクセレンスを祝いたいと思います。そして、今日会場に来ている世界のエコシステムをリードするPartner of the year awardの皆さんを祝福します。

今回も様々な発表がありますが、昨今のように大きくプラットフォームに変化が表れているときはさらに特別感があります。

次世代のAIにより、プラットフォームが変化しようとしており、それに伴いすべての業種、そしてすべてのコンピューティングに関する分野にも影響があります。

そしてこれから触れたいのが、具体的にこの変化が何なのか、をこのエコシステムで理解し、その上でどのようにイノベーションを開花させられるかを理解する必要があります。この変化には2つの視点があります。一つがユーザー体験です。

過去70年間の歴史を振り返ると、我々はずっとどのようにコンピューターのインターフェースをより自然、より直観的なものにできるかを重要視してきました。私が育った中ではマウスとキーボードは画期的なもので、 携帯でのマルチタッチ は更なる変化で、いま、我々は次世代の変化へ大きく前進しようとしています。その変化が自然言語です。

自然言語をコンピューターのインターフェースとして利用できるようになり、すべての我々のアプリケーションに組み込むことができました。2つ目の視点は情報管理についてです。過去70年間我々が行ってきたのは人、場所、モノのデジタル化でそれら情報に対して意味を持たせることです。その延長線上に「推論エンジン」が出てきたことで、何か始めるときに最初からドラフト(仮のもの)ができた状態でどんなタスクも始められるのです。推論エンジンにより予測や洞察もえることができます。これら2つ(自然言語と推論エンジン)が現代のAIによって可能になったのです。

そして各種業務(Rooms of the house)はAIによってリモデルされていきます。それが仕事や、業務プロセス、アプリケーション、セキュリティ、ローコード・ノーコード・プロ開発を含むソフトウェア開発など、ソフトウェアにまつわるすべての領域において、前段で述べた2つの分野で根本的に変革が行われるのです。そしてこれら変化は凄まじい機会を創出します。

私がマイクロソフトで働いてきた過去30年間で3度この変化は発生し、そのたびに大きく成長し、パートナーのイノベーションを開花させ、機会を創出させてきました。

ではこのAIによって次はどうなるのか?ということですが、すでに全世界のGDPは100兆ドルですが、さらに10%ほどの成長が見込まれるといわれています。

そして我々のパートナーエコシステムでも同じような恩恵を受けられると考え、現在4兆ドルのビジネスは50%以上成長し、2-2.5兆ドル増加すると予測してます。

我々のエコシステムは地球の地図と同等のものになっており、凄まじい速さでテクノロジーが浸透し、すべての国と業種にリーチすることができるのです。

それらすべて含め、我々のミッションにつながります。「すべての人やすべての組織がより多くを成し遂げられるようにする」そしてこのミッションは皆さんとともに実現します。

この数か月、我々はGithub Copilotをはじめ、Microsoft 365 CopilotやDynamics 365 Copilotなどなどたくさんのイノベーションを起こしてきました。そしてこれらは我々の製品に組み込むだけでなく、それらの要素を抽出し、プラットフォームにすることができたのです。

その結果、「Copilot Stack」が生まれました。インフラストラクチャーのレイヤーから、データの管理、基盤AIモデル、AIオーケストレーションがあり、さらにアプリ層ではデザインパターンとしてCopilotがあるわけです。ですので、ユーザーエクスペリエンスからテクノロジーの部分までを一気通貫で提供し、皆さんもそれを活用してどこへも広げることができます。

そしてそれがCopilot のエコシステムを構築しました。スタートアップからSIerまで集結し、このCopilot StackとCopilot のエコシステムが組み合わさることによって、我々にAIのアドバンテージをもたらし、お客様にもそれをもたらすことができるのです。

今回のこのイベントだけでも40以上の新しいアップデートを発表しますが、私のほうではその5つをご紹介したいと思います。

Bing Chat Enterprise と Microsoft 365 Copilot

本日、Bing Chat Enterprise を発表します。これはいろんな意味での「(歴史的)瞬間」で、CSO(最高ITセキュリティ責任者)やビジネスユーザーの誰もが待望していたと思います。「AADのログインを搭載し、エンタープライズプライバシーとセキュリティで守られたChatGPTの機能が欲しい」と。 今日から皆さんも利用できます。そしてもちろんMicrosoft 365 Copilotとも連動し、ナレッジワークとワークフローは抜本的に変わります。

詳細: https://aka.ms/bingchatenterprise

今回追加された機能が視覚的検索です。Bing Chat はGPT-4を活用し、直接画像アップロードして検索できるようになりました。ここでは建築物の写真をアップし、特徴について聞いてみました。

画像情報をもとにBing は特徴を抽出し、大航海時代の地球であり、葉っぱは勝利を意味するとも提案してきました。この機能は本日より利用可能です。

次にBing Chat Enterprise です。これまで企業は情報の安全性についての懸念があり、AIを活用できていない企業がいました。その結果、AIを禁止する会社も出てきました。Bing Chat Enterprise は機密情報を組織外に漏洩させることはなく、従業員の情報はウェブの情報を組み合わさることもありません。会話に関してはユーザーの許可なく保存されることはなく、マイクロソフトもアクセスできません。もちろんAIモデルの学習に使われることもありません。

画面右上の緑色の保護マークや、チャット入力ボックスの上の表示など、 Bing Chat Enterprise を使う際には保護されていることも視覚的にわかりやすくなっています。

ここに機密情報である、私がいま担当している案件についての入札情報を入力してみたいと思います。Bing Chat Enterprise は社内情報をもとに、提案情報を教えてくれました。

さらにすでに存在する建造物の情報を比較してみます。最新情報を検索し、リンクも併せて生成されています。

今度はSWOT分析を公開情報を比較してみたいと思います。Bing Chat Enterprise は自動で提案内容の強みや弱みを教えてくれました。

Microsoft 365 Copilot についてお話ししましょう。ここでは、Teams からCopilot に300文字の提案文章を指定したPowerPointのファイルから生成してくれました。

今日のBing・Microsoft 365関連の発表内容をまとめますと、Bing Chat が誰でも使えるCopilotの機能です。そして本日より、Visual Searchが可能になりました。つぎに、Bing Chat Enterprise は本日より利用でき、特定のMicrosoft 365 プランに含まれており、追加の単体のプランも別途お話します。そして最後にMicrosoft 365 Copilotの価格は1ユーザー当たり月額30ドルで提供することを本日発表しました。

Microsoft Sales Copilot

次にお話するのが Microsoft Sales Copilotです。これはCopilotでもさらに次のレベルに達したCopilotです。今まで個人の生産性についてお話してきましたが、これは組織と業務プロセスをまたいだ変革です。これにより営業担当者はお客様との商談の流れに沿って支援してくれ、メールを書いていたり、Teams でミーティングの中でそのままアクションを起こし、Dynamics 365 や Salesforce のCRMのデータと組み合わせてタスクを完了させることができます。

Power Automate Process Mining

もう一つ業務プロセスでお話する発表が3つ目のお話で、我々のパートナーエコシステムで最も重要になるのが、AIを活用するためのすべてのお客様のプロセスを理解することになります。そこでこの度Power Automateの一部として、Process Mining(プロセスマイニング)を一般提供しました。

このツールによって業務のプロセスを理解し、営業プロセスを可視化したり、人事・財務管理のプロセスなど、どんな業務も可視化し、

さらにその業務をAIによって自動化・効率化させることができます。 ですので Process Mining は皆さんが携わっているお客様のプロジェクトやプロセスを効率化させるきっかけとなるのです。

Azure AI アップデート

4つ目のアップデート情報がAzure AIに関してです。

まず最初にその中でもお話するのが、OpenAIに関してです。MicrosoftはOpenAIが大好きです。我々がプラットフォームシフトを遂げられるのは、この業界を形づけるパートナーシップによってのものです。我々がインフラストラクチャーを提供し、彼らがアルゴリズムを生成し、そして我々はそのアルゴリズムの上にアプリを開発し、ここの皆さんもイノベーションを起こすことができ、非常にユニークな進め方をしています。

本日Azure OpenAI Service の対応する地域の拡張を発表します。これにより、北米だけでなく、西ヨーロッパとアジアでも利用可能になりました。

Meta’s Llama 2 on Azure and Windows

我々はAIの分野も進めてきましたが、オープンソースに関しても進めています。その一環として今日はMeta社がオープンソースで提供しているAIモデル、Llama 2をAzureとWindowsで利用可能になることを発表します。

Azure OpenAI Service はOpenAIのAIモデルだけなく、Huggingfaceなどの外部のAIモデルも提供しています。今回Meta社のLlama 2が追加されました

モデルを選択すると、モデルを試したり、モデルをファインチューニングさせることがAzure 上のサンドボックスからも実行できます。これは「名前を付けて保存」と似ていて、基盤モデルを活用しつつ、組織は自分の環境下で個別のモデルを作り、モデルを実利用に向けた適用度を上げることができます。モデルの適用度がAIにとっては非常に重要なのです。

Azure AI Studio に搭載された コンテンツセーフティの機能により、安全にAIを活用できます。

生成型AIを活用するにあたって、プロンプトエンジニアリングによって大きく結果が左右されるわけですが、Azure ではプロンプトフローを利用することでLangchainやセマンティックカーネルはもちろんのこと、直接Pythonを利用することもでき、構造化・非構造化データを複数取り扱うことができます。

Azure Content SafetyはAzure AI Studioの中に組み込まれており、視覚的にカテゴリー別でコンテンツフィルタリングの制御をかけることができます。

そしてテスト結果は直接一覧から確認することができ、元のプロンプトから1から5のスコアでグラウンディングがどれほど行われているかが目視できます。

ほかにも結果の制度や、一貫性、関連性を評価することができ、自分自身でパラメータを定義することもできます。

モデルの作成が完了したら、APIの作成は簡単です。基盤モデルに加え、今のプロンプトエンジニアリングとコンテンツセーフティ機能が加わって、応答してくれるエンドポイントを数クリックで作成できます。

デプロイしたモデルのパフォーマンスをモニタリングすることもできます。

Satyaの発表では、Llama 2をWindows上から実行できるように最適化したと発表し、それはより強力なGPUやNPUなどのWindowsを実行するハードウェアが進化したためで、その結果ローカルで実行できるようになりました。そこにWindowsターミナルとLinux用のWindowsサブシステムのサポートを加えることで、ローカル上でVStoolsやOnixランタイムを利用したコンテナベースの開発が可能なるのです。このデモでは70億パラメータを利用したLlama 2モデルを組み合わせて ローカルで開発した WinUIアプリをC#で開発してWindows PC上で実行しています。このデモにある通り、ローカルでも非常に詳細な回答を生成しています。

Microsoft クラウド AI クラウドパートナープログラム

最後にお話ししたいのが AI クラウドパートナープログラムです。我々はこのプログラムに対する投資やインセンティブにより、皆さんが活用し、皆さんそしてお客様のビジネスの成長につながればと考えています。

これにはスタートアップやISV、SIerも含まれ、全業種が網羅されます。

私が最も関心があるのが、パートナーがいかにテクノロジーでイノベーションを起こしているかを知ることです。今日はその中の1社について取り上げたいと思います。その1社がヘルスケア業界のEPIC社です。アメリカのGDPの18%は医療業で占めており、その中でもEPIC社は医療管理システムのリーダーです。彼らはクラウド上でシステムを構築するだけでなく、最先端のAIを業務の中に組みこんでいるのです。

その中でもハイライトしたいのが、医療業務のワークフローをAzure OpenAIと組み合わせている例です。すでに医療系ISVとしてリードしているEPIC社がさらに次のレベルに進み、より良い影響を医療業界にもたらしたのです。