今年も始まりました、Microsoft Ignite 2020はデジタルイベントとして開催されました。

この投稿ではその中でもMicrosoft のCEO、Satya Nadella氏の基調講演(キーノート)をピックアップしてまとめています。

はじめに

新型コロナウイルスの影響から、3つのテーマが求められており、対応(Response)、復旧(Recovery)、再考(Reimagine)の3つが必要となった現在、デジタル技術は今までに以上に求められています。

そして、デジタル変革はさらに重要性を増しており、どの組織でも現在のような状況となった今、会社は

1)業務の最適化

2)従業員へのエンパワーメント(さらなる力を与える)

3)製品・サービスの変革

4)お客様へのアクション(対面からオンラインなど、アプローチの変更)

が求められています。

そして我々はこの活動をTech Intensity(テクノロジーの密度)と呼んでいます。

これを実現するには3つの軸が必要となります。

Tech Adoption:技術の活用力

Tech capability:技術力

Trust:信頼性(セキュリティなどによる)

マイクロソフトはこれらを実現するための包括的なサービスを提供しており、お客様のテクノロジーの密度を向上させます。

事例:Microsoft Flight Simulator

1つの事例として紹介したいのがMicrosoft Flight Simulatorです。

フライトシミュレーターはただのゲームではありません。AzureのAIやBing Maps、ジオスペーシャル技術などを活用しており、この地球のデジタルツインを活用しており、お客様も自社の製品に活用できるのです。

Microsoft Azure

Azureはインフラからデータ、アプリのレイヤーすべてを包括的に対応し、だれでもどんな技術でもクラウド化できるようにオープンな仕組みにしています。

現在61拠点にデータセンターを提供しています。

更に5Gの提供開始により、今まで以上に遅延の短縮が必要となっています。

例えばゲームの世界でXCloudを活用してストリーミングを行ったり、

ドローンや衛星データをもとに農地の管理・状況把握を行ったり、

製造業はデジタルツインを作成できます。

クラウドとエッジの融合により、様々なお客様がユビキタスコンピューティングを可能にしています。

昨年はAzure Arcを発表しましたが、さらにデータサービスを追加することで、複数のクラウドやデータセンターをまたいでAzureのフルマネージドサービスを実行することが可能となり、クラウドにアクセスしていないない環境でも実行できます。

Azure SQLではAzure SQL Edgeを提供し、IoTデバイス上でもSQLを実行可能とします。データストリーミングストレージとAIをオンラインでもオフラインでも使えます。

Azure Sphereにより、MCU駆動型のIoTデバイスを扱うことができ、AT-T社もこの技術を活用します。

Project Naricでは潜水型データセンターを構築しましたが、

次にAzure Orbitalとして、宇宙への技術展開も試みます。

地上データサービスと衛星とのデータ通信で活用できます。主な活用目的としてはハリケーンや浸水などの自然災害を未然に防ぐところです。

最近の傾向としてリアルタイムに膨大なデータの処理が求められています。

Azure SQL HyperscaleとCosmos DB、Azure Synapse、Synapse Linkの組み合わせはAzureの優位性を強調するものです。Azure Synapseは世界で唯一TPCHクエリをペタバイト単位で可能にします。

実際にペタバイト単位のデータを扱うお客様は前年比で5倍に増加しました。

Myntra社ではSynapse やHD Insightsを活用することで、45万人の同時利用者数に対して、カスタマイズされた製品提案が可能となったのです。

開発プラットフォーム

次に開発プラットフォームについてお話します。

Dicks社は小売業で店舗を抱えてますが、3月には店舗閉鎖のアナウンスがあった際にその翌週の月曜には新規アプリを作成し、非接触型の製品受け取りを可能とするアプリをお客様に展開できました。

今回新たにAzure Communication Serviceを提供し、Microsoft Teamsと同じ安定性を提供しているプラットフォーム上で、コミュニケーションサービスをどのデバイスやプラットフォームでも利用可能とします。

更にAIに関してアップデートすると、今年、いよいよ画像の説明化にかんして、人間と同じ認知レベルを提供できるようになりました。

Azure AI により、AIのツールやフレームワークを提供するだけでなく、サービスやインフラストラクチャーも提供し、Cognitive Serviceのようなサービスがご利用いただけます。

新しくAzure Cognitive Servicesに搭載したMetrics Advisorにより、Cognitive Service内の問題点を瞬時に特定できるようになります。

Azure Stack Edge上で実行したRxR社では各施設における密度の検知に利用したりしています。

Dynamics 365とAzure のスーパーコンピューター上で構築された自然言語処理モデルのGPT3との組み合わせをご紹介します。

AIは顧客とチャットボットとの会話内容をもとに顧客の感情を検知し、さらに会話を要約し、概要を人間の担当者へ送ることができます。

例えばお客様への割引などをAIに学習させ、次回から人間へのエスカレーションを行うことなく、類似の問題発生時はボットに自動対応させることもできるのです。

Mixed Reality

Mixed Realityは物理的世界と仮想世界を融合させるものです。AzureにおけるMixed Realityを強化し、開発者が現実世界と融合させられるようにしました。

Object Anchorsにより、物理的世界に仮想的に物体を配置したりすることを可能にします。

Lockheed Martin社ではScope AR社との提携により、Hololensを活用して、宇宙飛行士が乗る座席の配置設計などで活用しています。

従来8時間かけていたような作業が45分に短縮することができました。

Power Platform

Power Platformは開発者と市民開発者の橋渡し的な存在のサービスです。

組織は今まで以上に素早くインパクトをもたらせられるツールを必要としています。

Power Platformはアプリの作成や業務データの可視化、業務プロセスの自動化やチャットボットの作成がノーコード・ローコードで実現可能なサービスです。

市民開発者はPower Platformを活用してさまざまな変革を起こしています。

Manitou Park Elementry(小学校)でも活用されています。

新型コロナウイルスによって校長先生に提出する文書を送付する必要がありましたが、いまではPower AutomateでメールにWord文書を添付する代わりに直接記入して送信できるようにしました。

非開発者だけでなく、開発者の生産性を高めることも重要です。

Power Apps で利用するAzure API 管理をTeamsでも行えるようにします。さらに、Power PlatformをGitHubと連携することを可能にし、開発者も非開発者も貢献した内容を同じレポジトリでソース管理することができます。

更に、Teams 用Power BIアプリを強化し、Teams からコラボレーションしながら直接分析が可能となりました。

Microsoft 365

Microsoft 365は世界の生産性向上プラットフォームで、コラボレーションを可能にします。

イギリスNHSでは120万人の従業員がMicrosoft 365を活用して、生産性を向上しています。

NBAとコラボレーションし、ファンに安全性を提供しつつ、ゲームを楽しめるようにしています。

この花屋(House of Lilac)でもMicrosoft 365を活用しています。

生け花を売ることが新型コロナウイルスの影響で出来なくなり、完全にビジネスを変更し、ドライフラワーをオンラインで売る方向に変えたのですが、そのためには様々な調整が必要となり、Teamsですべて完結させることができるようになりました。

パソコンはこのパンデミックの環境下で必須のものとなり、仕事でも、学校でもどこでも必要となりました。

我々は生産性を包括的に考え、一人ひとり誰とやり取りするか、どのように時間を使うか、どんなコンテンツを作成するかなどをMicrosoft Graphが把握し、その従業員、そして組織に有益な情報を提供します。

Microsoft 365はGraphで連携したWindows、Office、Outlook、Edge、Teamsなどを含む統合プラットフォームです。Windows 10 はすでに1億人以上の方が利用しています。

そして60%以上のもの時間はブラウザ上での活動という統計データが出ており、Microsoft Edgeによって組織を安全にし、プライバシーを保護する手助けをします。ビジネスにとって新型コロナウイルス発生以降、フィッシング詐欺が最大の脅威となっていますが、Microsoft Edgeはこれらを保護します。

Microsoft Edgeはデータ損失ポリシーを搭載する、世界初のブラウザです。

Microsoft Teams

Microsoft Teamsは社内外問わず、ミーティングや通話、チャット、コラボレーションは自動化を提供するプラットフォームです。そして我々は最新の機能を毎週リリースしています。

こちらは1月から一般販売が開始される、Surface 2Sです。

Surface Duoと連携し、Surface 2Sを触ることなく遠隔操作してます。

Togetherモードではどんな背景にするかを選択でき、ミーティングの雰囲気を変えることができます。

ライブリアクションをとることができます。

ライブキャプション機能はでは、何を話されたかだけでなく、だれが話したかも特定します。

大きな会議を小さななバーチャルルームへ分割し、また戻すこともできます。

Walkie Talkie機能で、作業現場からの連絡も、追加のデバイスを使うことなく連絡を簡単に取り合うことができます。

LinkedIn

LinkedInではサービスの一つとして学習サービスを提供しています。

そのアップデートの1つとして、Microsoft Teamsの中で年内にラーニングアプリを提供する予定です。

これにLinkedIn LearningのコンテンツやMicrosoft Learn、ほかのコンテンツサイトとの連携も予定しています。

アプリによりマネージャーは部下に学習をアサインしたりすることが可能となります。

在宅勤務の負荷軽減

在宅勤務のデメリットとして、出勤とプライベートの境目があいまいになったという結果がでました。

そこで、バーチャル出勤機能をMicrosoft Teamsに搭載し、生産性を向上させるだけでなく、仕事から離れられるような仕組みを搭載していきます。

Dynamics 365

次にビジネスアプリについてお話しましょう。

Dynamics 365はビジネスクラウドアプリケーションです。

2022年までに85%のカスタマーサービスはセルフサービスで始まるようになり、小売業では昨年5ドルに1ドルはオンラインでの売り上げになっています。

Dynamics 365は業務における360度ビューを提供します。

Dynamics 365とLinkedInの組み合わせによりさらに遠隔販売が可能になります。

メルセデスベンツではアメリカでの整備でDynamics 365リモートアシストを利用しています。

これから先6か月で100以上の新しい機能を搭載させていきます。

その中で取り上げたい機能の一つがDynamics 365カスタマーサービスにおいて、Azure Communications APIとの連携により、通話での対応が可能となります。サプライチェーン機能ではリアルタイムで在庫を確認できる機能を強化していく予定です。

KrugerではDynamics 365 GuidesとHololens 2 を活用し、手順を仮想的に確認しながら作業を行っています。

イギリスのコンソーシアム、Ventilator Challenge UK では人工呼吸器の需要供給のためにDynamics 365 Remote Assistで専門性の高い、高度な知識を必要とする人工呼吸器の構築トレーニングに利用しました。

認証・セキュリティ・コンプライアンス

リモート環境を提供していくにはゼロトラストアーキテクチャは必須となります。

我々が唯一包括的に認証・セキュリティ・管理・コンプライアンスを組織の規模にかかわらず、提供する会社です。

コマツではMicrosoft Information Protectionを活用し、センシティブなCADデータなどを保護しています。

認証においては毎日8000万回のパスワード攻撃から保護しています。

従来のAzure Threat ProtectionとMicrosoft 365の脅威保護サービスをリブランディングし、

Defenderとして提供します。これはiOSやAndroidなどのモバイルデバイスも包括的に保護します。

DefenderはCloud Sentinelを拡張します。

新たに追加されたコンプライアンスマネージャーにより、組織のコンプライアンスへの適合性を確認することができます。

これらのテクノロジースタックはお客様のためのデジタル変革のために貢献します。