12月5日と6日にIgnite the tour Tokyo が開催され、私は「Power Apps と Power Automate の大規模な管理とサポート」について、登壇させていただきました。

2日目は急遽リピート開催も行い、合計200名以上の方にご参加頂き、誠にありがとうございました!

当日ご参加頂けなかった方向けに、今回はPower Apps と Power Automate のガバナンスと運用についてお話します。

マイクロソフトが考えるPower Platform の理念

Power Platformにおいては、誰でも作成者になれる世界を目指しており、作成しやすい、オープンなエコシステムを用意できるようにすることをミッションだと考えています。ただし、もちろん各作成者は、それぞれが付与されている権限の範囲内で収まるようにすることも重要です。

そうして、Power Appsというサービスが誕生して2年で、「Power Addicts」と呼ばれる、Power Platformを活用することが大好きなファンも増えました。彼らに共通しているのは、自社内の課題を自分の力で解決しようという強い意志を持っています。

例えば写真の左から3番目に写っているマーティンさんは、もともとは現場作業員の派遣を管理するコールセンター担当でしたが、Power Appsを自ら作成し、最終的には1年間で40種類ものアプリケーションを独学で作り上げたのです。その結果数億円にも上るコスト削減にも貢献しました。右から3番目のサミットさんは、ロンドンヒースロー空港のセキュリティチェック担当でしたが、Power Appsを通じて今ではOffice 365導入推進スペシャリストという役職で、社内のデジタル変革に貢献しています。

理念にはガバナンスも含まれる

IT管理者の方々なら、恐れられるのは、アプリの作成や運用などが制御不能な状況に陥ることです。昔のIBM Lotus Notesのように、データベースまみれにならないか?と恐怖心を抱く人もいるかと思いますが、

マイクロソフトのPower Platform の理念には、ガバナンスも含まれます。

管理者は状況をすべて把握し可視化できるツールを利用することで、生産性とガバナンスを両立させることが可能になります。この写真に写っている5名の方々はすべてIT管理者の方々です。実際に右から2番目に写っている、マニュエラさんは、日本でいうANAやJALと同じ位置づけの、Virgin Atlantic航空のIT部門にいたのですが、彼女は.NETなどでプログラムを組む、開発者ですが、彼女は「Center of Excellence」つまり、社内のガバナンスと運用体制を整えて、現場からのイノベーションを維持しつつ、統制も取られました。このCenter of Excellenceは第3回でお話します。

その後、彼女は2019年の9月から、私と同じチームの、Power Platform カスタマーアドバイザリーチーム(Power CAT)の一員として、(マニュエラさんは左から4番目。どうでもいいですが、私は右から3番目)実際に本番運用で利用していた知見を活かして、「Center of Excellence Tool Kit」をすべてのPower AppsとPower Automateの管理者向けに作成しました。

この「Power Apps と Power Automate のガバナンスと運用」シリーズでは、4回に分けて、お届けします。

  1. Power AppsとPower Automateの理念(今回)
  2. テナントをセキュアに使う
  3. テナントの活動状況を監視する
  4. 活動内容に対して通知・行動する

そして、これら4回に分けて、以下6つのベストプラクティスについてお話します。

  1. 環境管理の方針を決める
  2. データ損失ポリシーを設定する
  3. 標準搭載の活動ログと分析結果を活用する
  4. Center of Excellence スターターキットをセットアップする
  5. 新しい作成者を受け入れ、活用者(チャンピョン)を特定する
  6. 監査プロセスを構築し、自動化

次回の第2回は、テナントをセキュアにする方法についてご紹介します!