Dynamics NAVには、主に5つのモジュールが用意されており、財務管理、サプライチェーン管理、生産管理、プロジェクト管理と販売管理があります。

今回の投稿では、その中でも生産管理モジュールについてご紹介します。

 

品目マスタ


品目マスタには品目を3つに分類する項目「Replenishment Method(再補充方法)」が用意されており、

在庫がない場合、仕入からこの品目に対する在庫が補充されるのか、生産指図により製造されて補充されるのか、アセンブリーオーダーという組み立てにより補充されるのか、が選択できるようになっています。

 

仕入が選択されている場合

この場合、品目は発注オーダーを作成し、仕入入荷することにより、在庫を再補充することになります。

 

生産指図/生産オーダーが選択されている場合

この場合、品目は生産指図によって補充されることになります。

ここで必要になるのが「生産部品表」です。

 

生産部品表


Dynamics NAVでは、品目マスターの項目の一つに「生産部品表」が用意されており、このマスタを設定することで、品目と、その品目を製造するための生産部品表の情報が紐づけられる仕組みとなっています。

生産部品表には品目と数量を登録する欄が設けられており、ここで、親品目1つに対して、子品目の数量を定義します。

 

工順管理と生産負荷管理

工程や各工程での生産負荷を管理するために、Dynamics NAVでは工順とワークセンター、マシンセンターというマスタが用意されています。

 

ワークセンターマスタ・マシンセンターマスタ

これらのマスタでは、生産キャパと工程の原価/費用を定義します。

少し原価について詳しく説明すると、ワークセンターマスタでは、原価の計算方法を選択でき、工程処理単位か工程時間単位が選択できます。


工程処理単位の場合、その工程での作業が完了次第、固定で原価が発生することを意味します。この計算方法を選択する例として、プレス工程等の作業時間が均一で変動いない工程です。

工程時間単位の場合、作業時間によって原価が変動することを意味します。例えば溶接工程等は、主に従業員が溶接することになります。作業時間は従業員によって差が出ますし、工程の難易度でも原価が大幅に変動します。このような場合に選択します。

マシンセンターとワークセンターの差は、管理する粒度の差です。例として、ワークセンターがプレス工程なら、マシンセンターは個々のプレス機のことです。Dynamics NAV ではワークセンターのみで管理するか、ワークセンターの中にマシンセンターを設定することができます。

 

工順マスタ


工順マスターでは、どのワークセンター/マシンセンターを使って各品目を製造するかを設定します。ワークセンターとマシンセンターでは各工程の単価を設定しましたが、工順マスタでは各工程の時間または回数を設定します。この工順マスタが最終的には品目マスタと紐づけられ、製造原価の労務費や間接費として計上される仕組みとなっています。

労務費と間接費の算出方法は、ワークセンターの種類によって違います。

ワークセンターの原価計算方法が、時間で設定されている場合は:

工順マスタで定義されたワークセンターマスタとマシンセンターの単価 x 工順の時間です。

ワークセンターの原価計算方法が、単位で設定されている場合は:

時間に関係なく、工順マスタで定義されたワークセンターマスタとマシンセンターの単価のみとなります。

 

最終的に、生産部品表マスタと工順マスタは品目マスタと関連付けられて、以下のように原価計算できるようになります。