2020年のMicrosoftの開発者向けイベント、Microsoft Build はフルリモートでの開催となりました。この投稿ではその中でも基調講演についてまとめました。

はじめに

Microsoft CEOのSatya Nadellaの発表から始まりました。

いま問題となっている新型コロナウイルスの状況の中、参加者の皆さんがこの対応せざるを得ない変革へデジタルに貢献していることへの感謝を述べました。

例えば、John Hopkins大学では、新型コロナウイルスの感染状況を可視化するためのシステムを作成しました。

イギリスではMixed Reality(仮想現実)を活用して、人工呼吸器の製造のためにNHS(National Health Service)へ貢献しました。

NBAではクラウドとXBOXの技術を応用し、ゲームの楽しさを維持しました。

このように、開発者の役割は今まで以上に重要になったことがお分かりいただけたかと思います。

たった2か月で、過去2年分のデジタル変革が行われたのです。これから様々な業務のリモート対応が様々なところでより迅速で必要となります。

そして我々マイクロソフトとしてのミッションはこのような状況だからこそ、すべての人々や組織に対してより多くを成し遂げることなのです。

そして我々のインテリジェントなクラウドとインテリジェントなエッジ(デバイス)のプラットフォームがその成し遂げるためのツールを提供します。

GitHub

まずはプロの開発者向けについてお話します。

GitHubではすでに5000万人の開発者が利用しているプラットフォームです。

昨年対比でプルリクエストは17%、プッシュは16%、オープンソースプロジェクト数は27%増加しました。

我々マイクロソフトでは、Azure・GitHub・Visual Studioを提供することにより、包括的な開発者体験を提供しています。これにより素早くアイデアをコードに変え、コードをクラウドへ乗せることができるのです。

既にこの体験はGitHubのコードスペースの機能でお分かりいただけます。

すぐに開発環境をクラウド上で展開でき、

Visual Studio Codeは構成済みな状態で利用できるのです。どのデバイスでも利用でき、ブラウザだけでも使えます。

開発者はGitHub Actionsでプルリクエストをセキュリティ・品質を即座にレビューでき、Azureへ展開できます。

WSL2 Windowsは最高のアプリ開発環境で、Linux上でもWin32のアプリケーションが実行できます。

Power Platform

今回の開発者向けイベントで初めて取り上げる開発ツールがPower Platformです。

既にPower Platformは350万人の開発者が存在し、アプリやチャットボット、ワークフローやダッシュボードを開発しています。Power Platformはローコード・ノーコードで開発できるアプリケーションです。

そして、Microsoft 365とDynamics 365を拡張させることも可能です。

このツールはプロの開発者にとっても魅力的な高速開発ツールです。

ISVの方々はコネクタなどを用いてソリューションを作成でき、プロの開発者は拡張フレームワークの一部として開発し、市民開発者の方々も開発できるようにすることができるのです。

2020年3月単体で、Power Platformの新規利用者数が50%増加しました。

また、昨年対比でプロの開発者の利用者数は70%増加しました。

そして、7万の組織が今年だけで新たにPower Platformを利用するようになりました。

様々な機能のアップデートがありますが、その中でも2つ特に取り上げたい点があります。

1つ目は、Power AutomateのRPAを強化するために、我々はSoftmotive社を買収しました。

(詳細情報はこちらの和訳記事を参照)

もう一つ取り上げたい点はPower Virtual Agentsへの拡張性を強化し、プロの開発者がより高度なことを実装できるようにしました。

Azure

次にAzureについて取り上げます。

Fortune 500の95%の会社がAzureを利用しています。

Azureを世界のコンピュータとして提供しており、我々は世界で61のデータセンターを展開しています。

我々は唯一のEdgeまで提供するサービスであり、Azure Edge Zonesにより5Gへの接続性を提供し、Azure SphereによりセキュアなIoT環境を提供します。

Azure Arcは世界初のマルチクラウド・マルチエッジのためのサービスです。

そして本日、Azure Arcを次のステップとしてKubernatesへも対応します。

データ層ではAzure は無限のストレージとインテリジェントなアナリティクスを提供します。

我々は今までの製品を再構成し、クラウドへ最適化した、クラウドネイティブなデータサービスをすべての組織へ提供しているのです。そして本日、Azure Synapse Linkを提供し、開発者が簡単にライブ分析を可能にします。Cosmos DBとSynapseを融合させるのです。

AIの分野においては我々は非常に包括的なツールやフレームワークを提供しており、

Azure Cognitive ServicesにおいてはBot Frameworkやスピーチ機能の強化を図り、Project Bonsaiでは物理的システムへインテリジェンスをもたらします。

Azure Machine Learningでも新たに機能を追加し、プライバシー機能の強化によりデータの保護が強化され、モデルやデータに対する管理をより徹底できるようになります。

今回我々は世界ではじめて、AIのスーパーコンピューターを発表します。昨年のBuildで発表しましたが、その後インフラを強化し、大規模なマルチモデルを構築し、他の開発者がそれを利用できるようにしていきます。

Microsoft 365

次にMicrosoft 365についてです。このプラットフォームは

人を軸とした、マルチデバイスサービスです。

現在7500万人のMicrosoft Teamsの日次利用者数がいます。

そして月間で10億のWindows 10デバイスが稼働しています。

また、昨年対比でWindows 10の利用時間が75% 増加しました。

これは開発者にとっては、新しいアプリケーションの開発や、既存アプリケーションの拡張などの新しい機会なのです。

例えばTeamsはアプリを組み込むための最適な骨組みを提供しています。

たった2か月でTeams上に連携されたアプリケーションは3倍に増えたのです。

今回さらに次のレベルへアップデートしました。

TeamsとFluidフレームワークにより、コラボレーションキャンバスを搭載し、共同編集が行えます。

TeamsとPower Platformを組み合わせれば、パワフルなボット、ワークフロー、アプリをTeamsに組み込むことができます。ワンクリックでTeamsへ追加できます。

また、TeamsとVisual Studioを連携し、Teams上で起動できるアプリケーションを簡単に組み込めるようになりました。

Windows

次にWindowsについて取り上げたいと思います。

今回Project Reunionを通じて、Win32とUWP APIを統合します。

また、Windows Virtual DesktopではWindows 10インストールベース以外にもストリームして実行できるようになります。

終わりに(Satya Nadella氏の部分として)

今日お話したのはほんの一部のアップデート情報です。

これらはすべては皆さんが暮らしたくなる世界を作り上げるためのツールであり、皆さんのプラットフォームです。何を再構築するべきで、何を再構想するべきか、そして何を塩漬けするべきかの判断を迫られており、開発者としてはこの時期は新しい機会でもあり、責任でもある分岐点なのです。

Folding @ homeの紹介

私は幼いころに視力をほとんど失いました。私がタンパク質動力学に興味を持った理由の1つは誰にも見えなかったからです。これにより公平に感じました。

タンパク質の構成を理解できれば、アルツハイマー病の仕組みを理解できますし、がんも解明できるようになります。

Folding @ Homeは家から貢献できる、世界をつなげるクラスターサービスです。

コンピューティングパワーを共有することで、我々の演算処理に貢献します。

この取り組みによりデスクトップ1台だと500年かかる演算も、6か月に短縮されます。

私のような一般人でも、研究者を助けることができるのは非常にうれしい取り組みです。

新型コロナウイルスが蔓延するようになり、研究内容をこちらに切り替えました。

いまでは貢献していただける人が増え、3万台から400万台のデバイスになりました。

マイクロソフトは私たちと提携し、GitHub上でコードを格納するようになり、Azure上で大きなシミュレーションを実行するようになりました。

既にCOVID19(新型コロナウイルス)のモデルも構築でき、これらのタンパク質を特定する研究を進めています。

参加されたい方は foldingathome.org/start-folding からアクセスしてください。

サンフランシスコ音楽院の取り組み

サンフランシスコ音楽院では元々は100年以上対面で音楽を教えていました。

必要に迫られ、私たちの授業をすべてオンライン化する必要が出てきました。

Vegastream社やMAGIX社などと提携し、Microsoft Teamsを使って世界へ授業や演奏内容を配信し始めました。