マイクロソフトは10月1日にPower BI Desktopについての9月度の更新内容を発表しました。以下はその発表内容を和訳したものです。

※一部日本語訳およびスクリーンショットを原文より説明を多くし、スクリーンショットを日本向けに内容を変更した箇所があります。予めご了承ください。(動画はマイクロソフトの元記事をご覧ください)

2016年9月度のアップデートが配信され、様々な新しい機能や改善が含まれています!ESRI地図との連携や、Snowflakeコネクターに対するDirectQueryサポート、新しい予測機能やモバイルレポートレイアウト機能など、我々も非常にわくわくしています!これらの内、一部の機能はまだプレビュー版となるため、是非ともお試しいただき、感想をお送りください。さらに、今回のリリースでは、Rビジュアルの編集をお気に入りのR言語IDEから編集できるようになりました。Power BIとその他BI製品との組み合わせの良い例として、Pyramid Analyticsとの連携も含めることでより良い体験を得られます。

9月度に含まれるすべてのアップデート内容は以下の通りです:

レポートビュー

  • ArcGIS Maps for Power BI (プレビュー)
  • モバイルレポートレイアウト (プレビュー)
  • ドリルダウン機能強化

分析

  • 予測機能 (プレビュー)
  • 独自のR 開発環境の利用

データコネクター

  • Snowflake コネクターのDirectQueryへの対応
  • ProjectPlaceコネクター
  • Oracle コネクター – ナビゲータープレビューパフォーマンスの改善
  • OData コネクター – 「関連するテーブルの選択」をサポート
  • SAP BW と
    SAP HANA コネクター – パラメータ入力画面のUX改善
  • Web コネクター – HTTPリクエストヘッダーが指定可能に

クエリー編集

  • クエリー関連ビュー
  • 「エラーを表示」機能
  • クエリーエディターリボンでのスカラー値の対応
  • 呼び出し列(Invocation Column)の追加
  • 列の展開と集計、「追加で読み込む(Load More)」機能の追加
  • 新たな変換機能 – テーブルカラムをリスト形式へ変換可能
  • ドロップダウンメニューの「スマートタイピング」機能の追加

その他改善

  • Power BIコミュニティへのリンクが製品へ追加

主なアップデートについての概要は、以下の動画をご覧ください:

レポートビュー

ArcGIS Maps for Power BI (プレビュー)

我々は今回のリリースで、Esri社提供のArcGIS Maps for Power BI視覚化パーツをPower BIレポートでご利用いただけるようになりました。ERSI社の ArcGIS 地図は、世界クラスの強力な地図のマッピング管理がPower BIから可能になりました。この機能は現在Power BI サービスではまだ提供されていないため、この視覚化パーツを含んだレポートをPower BIサービスへ発行しようとすると、ウェブ上では空白が表示されます。ウェブ版は来週提供予定です!

このプレビュー機能を利用開始するには、オプションから「プレビュー機能」の「ArcGIS Maps for Power BI」を選択してください。

この機能を有効化して、Power BI Desktopを再起動すると、新しいESRI mapアイコンが視覚化ペインに表示されていることが確認いただけます。ArcGIS Maps for Power BI 視覚化パーツはESRI社によって提供されているため、利用開始するまえに、ESRI社の利用規定とプライバシーポリシーへ同意し、Power BIで提供するためのESRI社のサービスを許可する必要があります。

ここからは、他のPower BI視覚化パーツと同様の方法でデータを追加できます。地図の見た目や感じはパーツの右上の鉛筆マークをクリックすると、変更できます。

(image link)

これによりツールバーが表示された編集機能がフルスクリーンで表示され、ESRI地図で利用可能な機能が選択できるようになります。この機能の詳細については、ESRI社のウェブサイトをご覧ください(英語)

(著者追記:こちらの機能は別の投稿でご紹介する予定です)

ArcGIS Mapsについての詳細は、こちらの動画からご覧いただけます:

モバイルレポートレイアウト(プレビュー)

モバイル端末からレポート参照できる機能はみなさんにご愛用いただいてますが、モバイル端末に特化したレイアウトが作成したいとの要望を受けました。今回のアップデートでは、モバイルレポート作成のプレビュー機能を公開します。この機能はプレビュー機能を有効化していただくことで、「表示」タブを選択できるようになります。

Phoneレイアウトモードへ切り替えることによって、スマートフォン上にグリッドレイアウト表示され、すべての視覚化情報が確認できます。

ここからは、視覚化パーツをドラッグ&ドロップで右からグリッドへ移すことができます。保存し、ウェブへ発行すると、Power BIモバイルアプリをご利用の方ならどなたでもこのレイアウトでレポートがご覧になれます。

モバイルレポートレイアウト機能についての詳細は、こちらの動画をご覧ください:

ドリルダウン体験のアップデート

8月中旬のアップデートをご存じでない方は必見です。ドリルダウン機能を強化し、インラインで階層を切り替えたり、古いドリルダウン機能を同じ視覚化パーツで表示できるようにしました。階層のある視覚情報では、ダブルダウン矢印のアイコンが表示されます。

こちらは旧仕様のまま、次のレベルの階層を表示してくれます。そしてもう一つの分離した矢印のアイコン

では、インラインでの階層体験が得られます。各ドリルダウンタイプについての詳細は、別途掲載してます、こちらのドリルダウン機能についてのブログ投稿(英語)をご覧ください。

詳細はこちらの動画をご覧ください:

分析

予測 (プレビュー)

先月我々がリリースした新しい分析ペインに、新たな機能を今月初めてリリースします。今回から新しく、予測機能を線グラフに追加したことで、あなたのデータで予測分析ができるようになりました。この予測機能は組み込まれた予測モデルによって、自動的にステップ(月次、週次、年次)と、季節を検知し、予測結果を提供します。

この機能は現在プレビューなので、オプションから有効化することで利用できます。有効化し、プログラムを再起動すると、線グラフを利用した際に、新たに予測オプションが分析ペインに追加されていることが確認いただけます。

予測ラインを追加すると、二つのオプションを設定できるようになります。予測の書式を設定することができ、トレンドラインと似たようなコントロールが設定できます。

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「予測の長さ」プロパティを変更することが変更できます。「最後を無視」では、直近のデータポイントを予測元から除外することができます。これは、前月のデータがまだ未完な状態だった場合等の時に除外するのに便利です。確度では予測結果の確度を視覚的に表示してくれ、季節性の設定では手動で季節性を設定することが出来ます。例えば、データが月次データであれば、季節性を12に設定します。四半期であれば4です。

予測結果の上にカーソルを動かすと、絶対値、上限値と下限値が表示されます。

詳細は動画をご覧ください。

独自のR IDEを利用する

R 言語は統計専門家、データサイエンティスト、ビジネスアナリストなどに幅広く利用されており、Power BI Desktop ではRスクリプトを元にチャートを作成することが可能です。以前の仕様ではアプリケーション内のあまり強力ではないコードエディタを利用する必要がありましたが、今回のリリースからはお好きなR IDEがご利用頂けるようになりました。

R視覚化パーツを利用する場合、ポップアウトアイコンをクリックすることで、R拡張子を開くための既定のアプリケーションが設定出来ます。

IDEは自動で立ち上がり、IDEに自動的にデータがインポートされます。

どのIDEを立ち上げるかは、オプションの中のRスクリプトタブから設定出来ます。

詳細は動画をご覧ください。

データコネクタ

Snowflake コネクタのDirectQuery対応

先月、我々はプレビュー版のSnowflake コネクタをリリースしました。今回はこのコネクタを強化し、DirectQueryへも対応しました。

この機能はオプションと設定>オプション>プレビュー機能から有効化した後に、Snowflake コネクタを「データの取得」の「データベース」のカテゴリから選択出来るようになります。今月のアップデートからは「インポート」と「DirectQuery」が選択出来ます。

ProjectPlace Connector

今月は新たなコネクタとして、簡単にProjectPlace のデータをPower BIへインポート頂けるようになりました。この ProjectPlace コネクタでは視覚的にプロジェクトのコラボレーション状況をPower BI から参照できるようになり、カスタムレポートを他のデータソースのレポートと組み合わせることが出来ます。

コネクタを選択した後、ProjectPlaceのOData URLを入力することでプロジェクトデータを参照できるようになります。

 

Oracle コネクタ – ナビゲータープレビューのパフォーマンスが向上

我々はオラクルデータベースへ接続するときのナビゲータープレビューのパフォーマンスを大幅に向上させました。ほとんどのケースでは従来のリリースより30%以下の時間でプレビュー頂けるようになりました。

OData コネクタ – 「関連するテーブル」オプションの追加

我々は今回のリリースでOData V4を利用したフィードに対して、関連性を自動検知する機能を追加しました。 OData V4 フィードを接続すると、「関連するテーブル」をナビゲーターで選択出来るようになり、より簡単にレポート作成のためのテーブルが選択出来ます。

 

SAP BW と SAP HANA コネクタ – パラメーター入力画面のUX強化

SAP BW と SAP HANA データソースへ接続する場合のパラメーター入力画面の機能を追加しました。以下の改善が含まれています:

1. 単一選択パラメーター:

  • ドロップダウンリストでの選択以外に直接値を入力可能です。
  • メンバー ID と メンバーキャプションがドロップダウンリストで表示されるようになりました。

2. 複数選択パラメーター:

  • メンバーIDとメンバーキャプションがドロップダウンリストでも表示されるようになりました。
  • 検索ボックスでIDとキャプションの両方が検索可能になりました。

 

Web コネクタ – HTTPリクエストヘッダーを指定可能にUX

9月度のPower BI Desktop アップデートではウェブコネクタ内でHTTPリクエストヘッダーを指定頂けるようになりました。 ヘッダー名と値のペアを詳細設定のモードで指定できます:

ウェブコネクタについての詳細は動画をご覧ください。

クエリ編集時のクエリ依存ビュー

過去数カ月間での、データを加工する段階での機能改善の人気の要望の一つとして、簡単にPBIX内での各クエリに対する依存関係を理解できるようにすることでした。今月のアップデートではクエリ依存ビューをクエリエディタ内(リボンの表示タブ)に追加したことで、全てのクエリに対しての他のクエリやデータソースへの依存関係一目で確認でき、読み込み状況も把握できるようになりました。

 

クエリ依存ビューについての詳細は動画をご覧ください。

エラーを表示機能の追加

多くのケースでは、ユーザーはセル単位でのエラーがクエリ出力時に発生しています。よくあるシナリオとして、カラムタイプをテキストから日付や数値に変換した際に全ての値が変換出来なかった場合等です。このような状況ではセル単位でのエラーがクエリエディタのプレビューで表示されますが、nullとして表示されることでカラムタイプの要求を満たし、データモデルに追加されます

アップデート前の仕様では、上記のようなセル単位でのエラーは把握出来ませんでした。今月のアップデートからは、各クエリに対してのエラー回数が表示され、エラー内容をドリルダウンして詳細を確認できるようになりました。

「エラーを表示」リンクをクリックすると、エラーの詳細が閲覧でき、行のインデックスとエラーメッセージの全文も確認できるため、クエリのステップを修正したり、データセットを修正することができます。

(image link)

クエリエディタでのスカラー値のサポート

クエリエディタのリボンにスカラータイプのクエリに対するサポートを追加しました。このアップデートにはコンテキスチュアルリボンを追加しており、数値やテキスト、日付などの変換機能が含まれています。

 

呼び出し列(Invocation Column)の追加

カスタムファンクションを利用する際のよくあるシナリオとして、各テーブルの行に対して呼び出すケースがあります。今回のアップデートまでは事前にカスタム列を追加し、M式を正しい引数で設定する必要がありました

今回のアップデートでは、シームレスにユーザーがカスタム関数をテーブル内で呼び出せるようにしています。「カラムを追加」ボタンに新たに「カスタム関数を呼び出す」ボタンを追加しているため、そちらをクリックするだけで出来ます。ファイル内のカスタム関数とその引数を選択できる画面が用意されており、固定値や他の列の値をクエリに含めることができます。

 

カラムを拡張、集計 ー 値を「更に読み込む」ことが可能に

ネスト化されたデータ構造(レコードやテーブル)が含まれている列を扱う際、全てのデータが必ずしも同じスキーマである訳ではありません。Power BI Desktop では自動的にスキーマを検出し、ネスト化されたカラムを展開、集計させることが可能ですが、今回のアップデートまでは Power BI Desktopは最初の数行のみを読み込み、表示するリストを識別してました。

このアップデートでは、「更に読み込む」オプションを追加したことにより、Power BI Desktopにより多くのネスト化されたカラムを検出させることが可能になりました。「更に読み込む」オプションを選択した場合、Power BI Desktopは最大で最初の1,000行のデータを参照し、表示させる列を計算します。

新しい変換機能 – テーブル列をリストへ変換

このアップデートからは、より簡単にテーブルをリストへ変換できます。クエリエディタプレビューの画面から列を選択し、 変換タブ内の「リストへ変換」ボタンを押すだけです。

(image link)

出力されたリストは更にコンテキスチュアルリストツールのリボンタブから変換(重複を削除、ソート、統計的処理を追加等)することができます。リストクエリはクエリパラメーターの入力規則のリストとしても利用できます。

(image link)

キーボード操作 – ドロップダウンメニューでの「スマートタイピング」が可能に

今月のアップデートでは大幅にドロップダウンメニューに対するインタラクションやナビゲーションを改善し、「スマートタイピング」機能を追加しました。これにより、入力した文字列を基にドロップダウンメニューに含まれる、最初の文字列から項目を選択出来るようになりました。この機能はPower BI Desktop内での全てのドロップダウンメニューで利用頂けますが、特に便利なのが多くの選択項目が存在する、オプションです (例として、ドキュメントのローケルを選択する際、SAP HANA、 SAP BW、Analysis Services等で単一値を選択する際等)

その他改善

Power BI コミュニティへの製品からの直リンク

Power BI コミュニティはPower BIユーザーがコミュニケーションを取り、問題解決したり、直接製品チームへフィードバックできる素晴らしいサイトです。毎月5,000件以上もの新しいトピックが登録され、毎週 50,000人にコミュニティへ訪問頂いており、Power BIコミュニティはあなたの質問を解決する支援をしてくれます。今回のアップデートでは我々はサポートリンクをPower BI Desktopから直接アクセスできるように、素早く質問し、回答を得られるようにしました。もし、Power BI についての質問や、フィードバックを提供したい場合、ファイルメニューから「ヘルプ」を選択するか、スマイリーをクリックすることでサポートサイトへアクセスできます。我々の製品チームは常にコミュニティ内を監視し、問題やフィードバックを見つけることで、製品ロードマップを最適化しています。

 

サポートサイトではヘルプ記事を検索したり、コミュニティへ質問や問題を投稿できます。

 

アイデアは「アイデアを送信する」ボタンから、直接我々のサジェストサイトへアクセスし、機能の提案や改善内容を投稿したり、「Power BI for Developers」を使ってPower BI 開発者サポートサイトへ内容を投稿出来ます。更に、製品でエラーが表示された場合は「悲しい」ボタンを押して、問題を送信できます。

情報元: Power BI Desktop September Feature Summary