Dynamics NAV 2016では、3層アプリケーションとしてデータベースサーバとアプリケーションサーバ、クライアントで構成されます。

Dynamics NAVのインストーラーにはそれぞれの機能が選択できるようになっており、各サーバおよびクライアントでインストールする際にインストールする機能を選んで環境を構築していきます。

以下では様々な要件に合わせた構成について、ご紹介します。

 

デモ環境の場合

最低1台のコンピューターが必要になります。

構成としては、データベースサーバ、アプリケーションサーバ、クライアントの機能全てが1つのコンピューターで完結します。本番環境の構成としては全くお勧めしません。

 

ハードウェア費用・IaaS費用を抑える必要がある場合


これは本番運用としての最小構成ですが、サーバが1台必要になります。認証には既存のADへ接続します。

アプリケーションサーバとデータベースサーバを1台のサーバで構成し、クライアントをデスクトップや、ノートパソコンにインストールする想定です。ユーザー数が10人程度であれば問題ありませんが、それ以上の場合はお勧めしません。

メリット: インフラ費用・運用費用が安い

デメリット: 万が一サーバへのセキュリティ攻撃があった場合に、アプリケーションサーバとデータベースサーバが同一のため、重要なデータへアクセスされてしまう可能性が高いです。

 

最も標準的な構成


データベースサーバ、アプリケーションサーバとクライアントを別々に分ける、一番一般的な構成です。

メリット: 万が一アプリケーションサーバへセキュリティ攻撃があった場合でも、データベースサーバは分かれているため、被害を受けにくい。

デメリット: データベースサーバが停止した場合、アプリケーションサーバが停止した場合は復旧するまで業務を進められなくなります。(ダウンタイムが発生する)

 

国内複数拠点で使用する場合の構成


国内複数拠点で利用する場合は、VPN接続をおすすめします。

上記の標準的な構成に加えて、Site-to-Site用のVPNハードウェアもしくはサービスが必要となります。

メリット: Site-to-Siteを利用することにより、ユーザーはネットワークを意識することなくDynamics NAVへ接続できます。

デメリット: あまり回線品質が良くない場合は、ユーザーが遅く感じたりすることがあります。大量のデータを処理する要件がある場合は、お勧めしません。

 

海外複数拠点で使用する場合の構成


アジア圏など、通信状況があまり良くない地域では、クライアントから直接接続する方法は通信負荷が高く、ユーザーにとっては非常に動作が遅いと感じられてしまい、場合によっては作業途中に通信不能でエラーが発生したりすることもあります。

そのため、海外複数拠点の場合は、リモートデスクトップでのアクセスをおすすめします。

すべてのトラブル対応に関しても、リモートデスクトップサーバへアクセスすることで大抵の問題が確認できるため、管理側としても運用が楽になります。

メリット: 通信状況が悪い地域でも問題なく使用できる環境が提供可能です。

デメリット: ローカル環境と、リモート環境が混在するため、ユーザーにとっては少々手間が増える場合があります。

 

タブレット、モバイル端末を使用する場合の構成


最新版のDynamics NAV 2016にはユニバーサルアプリが用意されており、Windows Phone、Android、iOSに対応した専用のアプリが使用でき、外出先からでもDynamics NAVのデータへアクセスし、デスクトップクライアントと同じ体験ができます。

メリット: 外出先からでもDynamics NAVが使用でき、ウェブクライアントを使用する場合は、各クライアントコンピューターのセットアップは不要です。

デメリット: ウェブクライアントではすべての機能が使用できないため(2016/5/15時点)、ネイティブクライアントより多少利便性が低下してしまいます。

 

Microsoft Azure / Office 365を活用した場合の構成


最新版のDynamics NAV 2016はAzure SQLに標準対応しているため、AWSなど他のクラウドサービスより低い費用で、クラウド環境で構築できます。

また、Office 365サブスクリプションを使って普段使用しているOffice 365か、Azure Active Directoryのログイン情報で、Dynamics NAVを使用することも可能です。

メリット: ほかのOffice 365アプリケーションや、AADを使用するWebアプリとシングルサインオンでログイン可能。

デメリット: 難易度としては一番難しいため、構築時間が最もかかります。