Power AppsとPower Automateの新ライセンス体系について(2019年10月から)
本日、2019年10月から適用されるPowerAppsとMicrosoft Flowの新ライセンス体系についての発表がありました。この投稿は2019年7月25日(米国時間)に https://powerapps.microsoft.com/en-us/blog/new-licensing-options-for-powerapps-and-flow/ で投稿された意訳です。
正式なライセンス体系につきましては、原文をご覧頂き、詳細はマイクロソフトまでお問い合わせ下さい。
この投稿内容はあくまでも参考情報としてご利用ください。このブログ投稿はマイクロソフトコーポレーションおよび日本マイクロソフト株式会社の正式な発表内容ではありません。
※2019年8月30日更新:米国時間2019年8月29日付けで、新たに追加情報が発表(英語)されたため、一部追記・更新しています。
※2019年9月6日更新:個人活動として、9月13日にオンラインイベントを開催し、今回の変更点等について説明します。イベントの詳細はこちらをご覧下さい。
発表内容
過去1年間、PowerAppsとMicrosoft Flowの利用状況は飛躍的に成長しました。お客様からの様々な要望に応えるため、あらゆる機能を搭載してきました。そして、単体ライセンスにおける、利活用方法についてのご意見も伺って参りました。
そんな中で、大きく3つのテーマについて企業の規模に問わず、ご要望を頂きました。
- 一つの利用用途でも始めやすくして欲しい。 「全社導入」として利用を検討する前に、たくさんのお客様から1つの利用用途でも始められるようなPowerAppsまたはFlowのライセンスをご要望されました。
- ライセンス体系をわかりやすくして欲しい。プラン1、プラン2ライセンスでの機能差がわかりにくいと伺っておりました。
- 外部ユーザーのライセンスを明確化して欲しい。つい最近、我々は外部のユーザー様向けにPowerApps Portalsのプレビュー提供を開始致しました。それに伴いまして、お客様からこのような利用用とにおけるライセンスがどうなるのかというご質問を頂きました。
これらのご要望にお応えするため、2019年10月より、新たに2つのプランを提供いたします。「PowerApps per app」プランと「Flow per business process」プランです。
「PowerApps per app」プランでは、ある特定の利用シナリオに対し、個々のユーザー様が実行できるようなシナリオを想定しており、「Flow per business process」プランでは、チームや部署、組織全体を横断するような非常に重要な業務プロセスなどで利用できるプランとなります。それぞれの新しいライセンスは、利用用途の増加と併せて始められるものとなり、全ユーザー分に最上位プランをご契約頂くことなく、単体の利用用途や業務プロセスでご利用頂けます。
単体のアプリケーションの例として一つご紹介しますと、お客様は以下のようなイベント管理のシナリオでご利用頂けます:
- PowerAppsポータルを利用し、外部のユーザー様にイベントへご登録頂く
- 社員向けに登録情報や運営管理のためのウェブアプリの提供
- 現場スタッフ向けのモバイルアプリの提供
このようなシナリオでは、1つの「アプリ」としてまとめられます。
今回の発表に伴い、PowerAppsとFlowにおける、ユーザー単位の有償プランに関して機能差をなくします。プランに関係なく、すべてのお客様が全機能をご利用頂けるようになります。コンプレックスエンティティや、モデル駆動型アプリなどの機能制約は一部ライセンスにのみ残ります。
そして今回の重要な点として、作成と管理機能については、有償プランを必要とせず、ご利用頂けるようになります。従来、管理者向けにはPowerApps プラン2が特定の機能において必要とされてきましたが、この変更に伴いまして、必要がなくなります。
今回の発表につきまして、主に以下の変更を単体ライセンスに対して行います:
PowerApps プラン
新規・更新時のお客様は「PowerApps per app」プラン、または「PowerApps per user」プランからお選び頂けるようになります。
- PowerApps per app プラン – ユーザー様がPowerAppsのすべての機能を活用し、特定の業務シナリオで必要とするアプリの実行が可能となります。価格は1ユーザー当たり、1シナリオ当たり、月額10米ドルです。
- PowerApps per userプラン – ユーザー様がアプリ数無制限で、PowerAppsのすべての機能を活用出来るプランです。既存のプラン1、プラン2ライセンスの後継プランとなり、価格は1ユーザー当たり、月額40米ドルです。
Microsoft Flowの利用可能範囲につきましては、PowerAppsのユーザー様は引き続き、PowerAppsから実行したフロー、またはアプリのデータ処理から発生したフローが利用頂けますが、Microsoft Flowのすべての機能をご利用頂く場合は、下記に記載しております、単体のFlowプランが別途必要となります。
PowerApps ポータル
PowerApps ポータル は対外向けのお客様やビジネスパートナー様とやりとりが行える、レスポンシブなウェブサイトをローコードツールで作成できるサービスです。これは、新しいポータルアプリを作成することで、社内のユーザー、外部の匿名ユーザー、LinkedInや独自ログイン、Microsoft Accountやそのほか様々な認証サービスを用いて認証された外部のユーザーがアクセス可能となります。社内のユーザー様に関しましては、新しい「PowerApps per app」プラン、または「PowerApps per user」プランにPowerAppsポータルの利用権が含まれます。
PowerApps ポータルは以下のライセンス体系で提供されます:
- 外部の認証されたユーザーは100ログイン当たり、月額200米ドル
(こちらのブログ投稿にはありませんが、1ログインとは24時間内での同時ログイン数です:参考情報) - 外部の匿名ユーザーは100,000ページビュー当たり、月額200米ドル
- 社内ユーザーは「PowerApps per app」プラン、または「PowerApps per user」プランにPowerAppsポータルの利用権が含まれます
Microsoft Flow
新規・更新時のお客様は「Flow per user」プランまたは「Flow per business process」プランをお選び頂けるようになります。
- Flow per user plan – ユーザーがワークフローや業務プロセスを無制限に作成することができます。現行のFlow プラン1とプラン2はこの新しいプランに統合されます。月額15米ドルです。
- Flow per business process – チームや部門、組織全体を横断した、重要な業務プロセスを、ユーザー数無制限で作成できます。業務プロセス当たり、月額500米ドルで、最大5つのワークフローが設定頂けるようになります。
この新しいプランへの変更により、Flowの検出までの時間制約や、Flowの実行回数の制約はなくなります。今後、PowerAppsとFlowはよりわかりやすい、単純化されたライセンス体系になり、一日当たりの容量上限を設けることで、サービス品質を担保致します。高利用が必要なお客様は容量プランを追加でご契約頂くことで、特定のユーザーや業務プロセスへ割り当てることが可能となります。
APIコール数の上限
今まで、PowerAppsやMicrosoft Flowのプランで実行できる、Flowの実行回数が設けられてきましたが、今回の変更でその実行回数による制限はなくなりました。その代わりに、プランに応じて各種APIコール数への制限が設けられ、以下の回数が各プランで実行可能となりました。
(以下表は2019年8月30日取得時のものです。最新はこちらをご覧下さい)
ユーザーライセンス | APIコール数 (24時間内) |
---|---|
Dynamics 365 Enterprise アプリケーション* | 20,000 |
Dynamics 365 Professional ** | 10,000 |
Dynamics 365 Team Member | 5,000 |
PowerApps per user プラン | 5,000 |
Microsoft Flow per user プラン | 5,000 |
Office 365 ライセンス (PowerApps/Flowが含まれるプラン) |
2,000 |
APIコール数とは何?
APIコール数は以下を1回と見なしています:
- PowerAppsやMicrosoft Flowからのコネクターを経由した実行
- Microsoft Flow内で設定した、各アクション(例えば、Outlookからメール送信や、SharePointで一覧取得など)
- Common Data Service – すべての処理(読込・書込・更新・削除、レコードの共有・割り当てなどを含む)画面上の操作以外にも、プラグイン、ワークフロー、カスタムコントロールから実行した場合や、外部サービスからRESTやSOAPエンドポイントを利用した場合も対象となります
Office 365、Microsoft 365とDynamics 365に含まれる、利用可能範囲について
2019年8月29日付けの発表にて、10月からの利用可能な範囲に変更があることが発表されました。情報元はこちらの投稿(英語)です。
Dynamics 365
- Dynamics 365内における、PowerAppsとMicrosoft FlowからDynamics 365のライセンスを必要とせずにアクセスできるよう、「制限付きエンティティ」に関する範囲を変更します。
- 「ケース」エンティティはこの変更に伴い、PowerAppsとMicrosoft Flowのライセンスのみでも、自分自身が作成したケースであれば、作成・読込・更新・削除が可能となります。他人の場合は対象外です。
- Dynamics 365 for Salesの一部エンティティが制限付きエンティティへと再分類されます。
Office 365 / Microsoft 365
- Microsoft 365・Office 365のサブスクリプションで利用可能であった、SQL、Azure、Dynamics 365のコネクターはプレミアムコネクターへと再分類されることとなりました。これらのコネクターは、PowerAppsまたはMicrosoft Flowの単体ライセンスが必要となります。再分類の一覧は、以下をご覧下さい。
適用される時期
2020年10月1日まで、またはご利用されているOffice 365のサブスクリプション/契約が終了するまでのいずれか長い期間までは、この変更は適用されません。
既存のアプリやフローについて
2019年10月1日までに作成されたPowerAppsやFlowの中で、影響するコネクターをご利用の場合に関しては、2024年10月1日までは、引き続きご利用頂けます。適用される時期の後も、既存で作成されたものであれば、2024年10月1日までは利用できるということを意味します。
プレミアムコネクターへと再分類対象となったコネクターの一覧
以下のコネクターは2019年10月1日より、プレミアムコネクターへと分類されます。既にご契約がある場合は、即時反映されるわけではありませんので、詳しくはマイクロソフトのご担当、マイクロソフトのパートナー様までご確認ください。
Azure系
- Azure Application Insights
- Azure Automation
- Azure Blob Storage
- Azure Container
- Azure Cosmos
- Azure Data Factory
- Azure Data Lake
- Azure DevOps
- Azure Event Grid
- Azure Event Grid Publish
- Azure File Storage
- Azure IoT Central
- Azure Kusto
- Azure Log Analytics
- Azure Log Analytics Data Collector
- Azure Queues
- Azure Resource Manager
- Azure SQL
- Azure SQL Data Warehouse
- Azure Table Storage
- Event Hubs
- Service Bus
Dynamics系
- Dynamics 365
- Dynamics 365 Customer Insights
- Dynamics 365 for Finance & Operations
- Dynamics 365 Sales Insights
- Dynamics 365 Business Central
- Dynamics 365 Business Central (on-premises)
- Dynamics NAV
その他
- SQL Server
詳細情報
2019年10月に近づくにつれて、お客様へは新ライセンス体系に関する情報を更にご提供していく予定です。このブログ投稿でお話した内容については、2019年7月8日から開催されたMicrosoft Inspireでの発表情報をご確認下さい:
Microsoft Power Platform business model and licensing updates – Session I-BAP215
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