こんにちは、@PinkChickJPです。皆さんの会社では、年次評価やパフォーマンスレビューなど、自分のこれまでの成果を振り返る機会がどれくらいあるでしょうか。忙しい日々の中で、過去のメールやチャットを探して実績を思い出すのは大変です。この作業に時間を取られたり、重要な実績を見落としてしまった経験はありませんか?
私自身のこのような悩みから生まれたのが実績管理エージェントです。
このエージェントは、社内外の様々な活動や成果(登壇、案件のリード獲得、資格取得など)を簡単な入力だけでPower Platform上のモデル駆動アプリへ タイムリーに実績登録してくれます。エージェントと対話するだけで、自分専用に実績の一元管理が叶い、年次評価の準備やレジュメの作成にも役立ちます。
では、早速このエージェントの概要と作り方を紹介していきます。

実績管理エージェントの概要

課題
– 企業勤めの多くの方は、年に1回や半年に1回など、自身の活動や組織への貢献に関する振り返りの場がありますが、過去の成果や具体的な実績を探したり整理すのに苦労している
– メールやチャット、個人のメモやローカルのExcelファイルから実績を探し出すのは手間と時間がかかる
– 忘れがちな成果や、入力漏れが評価に影響してしまう

ソリューションの概要
– 実績管理エージェントは、イベントをタイムリーに記録し、一元管理できる
– Dataverseを中核データベースとして利用し、Copilot Studio の対話インターフェースで操作可能
– 年次評価やレジュメ作成のためのデータを容易に準備できる

実装手順
– 以下のステップでエージェントと関連アプリを構築していきます
1. ソリューションの作成
2. テーブルの作成と列の追加
3. ビューとフォームの設定
4. ビジネス プロセス フローの追加
5. モデル駆動型アプリの作成
6. Copilot Studio でのエージェント作成
7. ツールの追加と設定
8. テストして公開

実績管理エージェント作成の詳細手順

1. ソリューションの作成

1-1. Power Apps > ソリューション > +新しいソリューション > 作成

2. テーブルの作成と列の追加

2-1. +新規 > テーブル > テーブル > 空白から開始

2-2. 作成したテーブル内で列を選択し、必要な列を追加

3. ビューとフォームの設定

3-1. 作成したテーブル内でビューを選択 > 「アクティブな〇〇」という名称のビューを選択

3-2. テーブル列から列を選択 > 列を追加し、ここではDate 列を降順で並べ替え基準として設定 > 保存して公開

※任意ですが、「アクティブな〇〇の簡易検索ビュー」という名称のビューを選択 > 検索対象列に Title / ImpactDetail 列などを追加しておくと全文検索のヒット精度が上がります


3-3. 作成したテーブル内でフォームを選択 > メインフォームを選択し、編集

3-4. テーブル列から列を選択 > 列を追加

3-5. ここでは、コンポーネントからタブを追加してタブ分けし、画面のデザインを行う > 保存して公開

ビジネス プロセス フローの追加

4-1. 作成したソリューション > +新規 > 自動化 > プロセス > ビジネス プロセス フロー

4-2. 作成したテーブルを選択 > 作成

4-3. +追加 > 追加 ステージ > 必要なステージとデータステップを追加 > アクティブ化


5. モデル駆動型アプリの作成

5-1. 作成したソリューション > +新規 > アプリ > モデル駆動型アプリ > 新しいモデル駆動型アプリに名前をつけて作成

5-2. ナビゲーション > 新しいグループ > Dataverse テーブル > 作成したテーブルを選択

5-3. グループの下にビューとフォームが追加されたら、保存して公開する

6. Copilot Studio でのエージェント作成

6-1. Copilot Studio > 作成 > +新しいエージェント

6-2. 説明タブ > 説明や名前を入力 > 作成

6-3. 概要タブ > ナレッジ > +ナレッジの追加

6-4. Dataverse > 作成したDataverse テーブルを選択 > エージェントに追加する

7. ツールの追加と設定

7-1. Dataverseとの連携

まずはCopilot StudioからDataverseへ連携する設定を行います。ここではツールを使い、Dataverseへのデータ書き込みのアクションを追加したいと思います。

7-1-1.エージェントに実績登録を行ってもらうため、ツールタブ > +ツールを追加する

7-1-2. 「選択した環境に新しい行を追加する」を選択 > 追加と構成

初めて使う方だと、ここでいきなり「エージェントに追加する」をクリックしがちですが、まずは「追加と構成」を選択します。

7-1-3. Microsoft Dataverse を選択 > 詳細セクション > 名前と説明を入力

7-1-4. 入力セクション > +入力を追加する > 作成した列を追加 > それぞれ「カスタム値」または「AIで動的に入力する」を選択し、インプットを追加していく

人がロジックで関数などを用いて固定値にするものを「カスタム値」と、AIに入力内容を委ねるものを「AIで動的に入力する」として選択します。

7-1-5. カスタマイズ > 説明に数値のマッピングを行う > 保存

※Tips:Dataverseの選択型の列を利用する場合、Copilot Studio側では選択型のラベルではなく、そこに振られるランダムな数値を参照してしまうため、説明に数値とラベルをマッピングさせる必要があるのです。

7-2 プロンプトの追加

次に、登録しようとしている内容を成形したり、より分かりやすく実績を登録するために、今回はプロンプトを利用したいと思います。

7-2-1. エージェントに実績登録の内容を要約してもらうため、再びツールタブ > +ツールを追加する > +新しいツール > プロンプト

7-2-2. 指示 を入力 > “/”を使用して入力とナレッジを追加 > テスト で応答内容を確認 > 保存 > 追加と構成

7-2-3. 詳細セクション > 名前と説明を修正

7-2-4. 入力セクション > +入力を追加する > エージェントに要約してもらいたいDetail 列を追加 > 保存

7-3 指示の設定

7-3-1. 概要タブ > 指示 を入力 > “/”を使用して入力とナレッジを追加 > 保存

8. テストして公開

8-1. テスト > エージェントをテストする > 問題なければ公開して完成

8-2. 作成したモデル駆動型アプリを確認 > レコードが追加されていることを確認