dyn365-for-SMBs

7月11日から14日まで開催された、Microsoft Worldwide Partner Conference 2016のセッションでは、中小企業向けのDynamics製品について発表があり、Dynamics 365 ビジネスエディションについて、セッションCE151「The future of business solutions for SMBs: What’s next for Microsoft Dynamics NAV, Dynamics GP, and Dynamics SL 」についてお話しします。

記事の元となっている情報は、こちらの動画からご覧になれます。

https://cdn.tri-digital.com/WPC/2016/CE151.mp4

昨年のDynamicsは非常に前進した1年となり、新しいバージョンのDynamics NAV、Dynamics SL、Dynamics GPがリリースされ、さらにMicrosoft管理下のPaaSやSaaSサービス、そしてMicrosoft Dynamics 365がつい先日発表されました。

現在のクラウドの市場は大幅に変化しており、クラウド型の業務アプリケーションの投資額がオンプレのアプリケーションと比較されると6倍にまで膨れ上がるであろうとマイクロソフトは2018年までの予測をしています。

大手調査会社のForrester社、KPMG社やIDC社もクラウド化がトレンドであることを示しており、IDC社によると2020年までにはクラウドがデファクトスタンダードに成るであろうとの見解もあります。

現在の中小企業の規模を細分化すると、1-4名の小企業が圧倒的に多いですが、その他の規模もいろいろあることがこのグラフで確認できます。

これらの中小企業にむけて、様々な形(IaaS、PaaS、SaaS)で提供されてきましたが、1-4名の小企業向けにはソリューションがないため、これらの会社を担当する会計事務所はSharepointや会計サービスを提供するプラットフォームを模索してきました。

クラウド化にむけての提案として、様々な方法があり、マイクロソフトのパートナーはいずれかの方法を利用して提供可能です。

そして今まで「Project Madeira」として公開プレビューされてきたSaaSソリューションは正式に「Dynamics 365 for Financials」として発表されたのです。

Dynamics 365 ビジネスエディション

Dynamics 365にはエンタープライズエディションとビジネスエディションが提供される予定ですが、このビジネスエディションは段階的にリリースされる予定となっています。

今回のDynamics 365 ビジネスエディションでは、会計モジュールのみが提供され、「Dynamics 365 for Financials」としてリリースされます。販売モジュールとマーケティングモジュールに関しては、今後のリリース対象となっています。

現状は、複数のクラウドサービスは複数のベンダーから購入する必要がありますが、IDC社の調査によると、67%もの中小企業は実際には1つのベンダーからクラウドサービスを購入することを期待しているとの調査結果が出ています。

Microsoft Dynamics 365のコンセプトとして、会計から始め、その後途中から販売モジュールを利用し、マーケティングも開始するといった、成長に合わせた段階的な導入にも対応可能となっています。

各製品のリリースロードマップについては以下の通りとなっており、Dynamics 365は既存製品の代替となるわけではなく、新たなサービス・ソリューションとして開始されます。各製品の開発サイクルはより早く(アジャイル)になり、公開頻度はより頻繁になります。

Dynamics 365 for Financials

現在「Project Madeira」となっている製品が「Microsoft Dynamics 365 for Financials」として正式リリースされる予定です。

Microsoft Dynamics 365 for Financialは米国とカナダでリリースされ、現在月次毎に新しいリリースが発表されています。一般公開のリリースは、今年の第4四半期に発表される予定となっています。

Dynamics GP

Dynamics GPのローカルクライアント版ではPower BIが組み込めるようになりました。

次のバージョンではさらにウェブクライアントでも同様ができるようになるとのことです。ODATAサービスを利用して、PowerAppsとも連携できる可能性も発表されました。

データソースの公開対象をチェック1つで変更でき、例としてExcelから直接参照するといったことが可能です。

次のDynamics GPでは、Power BIのパッケージも用意される予定となっています。

2017年のリリース予定はDynamics GP 2016 R2として発表される予定です。

リリース頻度は当初6ヶ月間隔でしたが、パートナーやお客様のフィードバックにより、およそ9カ月間隔のリリース頻度へと変更されました。

Dynamics SL

Dynamics SLについては継続的にウェブクライアントが強化されます。

次期バージョンではPower BIなどへの対応が主なポイントとなります。

Dynamics NAV

Dynamics NAVについては、次期バージョンの製品名は「Dynamics NAV 2017」となりました。

Dynamics NAV 2017はProject Madeiraと似た部分がありますが、主な違いとして、オンプレミス環境でも導入可能な点です。

新しい変更点として、Project Madeira同様、品目マスタでは従来のリスト形式ではなく、カタログ表示に対応しました。

アイテム属性(Attributes)という機能も付与されており、色や、サイズなどのデータが設定できるようになります。

設定はウィザード形式により、より簡単に設定できるようになります。

Outlookから直接Dynamics NAV 2017のデータへ参照することが可能です。Dynamics NAV 2017の画面を開かずに、Outlook上から直接、見積書や請求書などが発行できます。

Dynamics CRMとの連携がDynamics NAV 2016から更に強化され、ウィザード形式での設定がより簡単になりました。

ロードマップとしては、Office 365連携が強化され、FlowやPowerAppsとの連携にも対応します。

今回の大きなメッセージとして、既存のサービスが止まることなく、新たにリリースされたDynamics 365 ビジネスエディションと共存していくということが発表されました。