Ignite 2016が開催されていた時期と並行して開催されていたのが、Dynamics製品のイベント、Directions US 2016です。このイベントでは主に、ERP製品である、Dynamics AX、NAV、GP、SLに加え、今年から新たなサービスとして提供される、Dynamics 365についての様々な発表が行われました。

本投稿では、Dynamics NAV製品および、Business SolutionsカテゴリーでMicrosoft MVPを3年連続受賞している、Aleksandar Totovic氏によるブログ投稿を一部和訳しました。

リリース日

まず初めに、Dynamics NAV 2017は正式にリリースされませんでしたが、リリース日が発表されました。Directions NAやDirections EMEA等のイベント時ではなく、その後の2016年10月24日にDynamics NAV 2017にリリースされます。そして、マイクロソフトは更に、Dynamics 365 for Financials(旧名:Project “Madeira”)はその直後にリリースあれるとのことです。

今後の方向性

いくつかの実装予定の機能は、Marko Perisic氏と彼のチームによって、キーノートで発表され、その他の機能は別のセッションで発表されました。この記事でもいくつか取り上げますが、今回の投稿ではより重要な点について触れたいため、書いていない分は別の記事で投稿する予定です。以下の図でも確認出来るとおり、Paul White氏は今後の戦略として、「AND」戦略としています。(日本語補足:複数の製品が共存する戦略をとられています)

この戦略に基づき、Dynamics AXとCRMはDynamics 365ソリューションの一部のみとして今後は進みます。ただ、まだ不透明なのは、CRMの部分はEnterprioseとBusiness Editionの両方のDynamics 365に実装される予定ですが、AXはDynamics 365 Enterprise Editionのみに実装され、Project “Madeira”はDynamics 365 Business Editionのみに実装される予定です。 ただし、Dynamics NAV(とGPとSLも)独立したソリューションとして共存し続ける事と現在はなっており、オンプレミスでもサブスクリプション契約も可能です。この発表はDynamics NAVのファンにとっては喜ばしい内容ですが、安心できるまでもう少し時間がかかりそうです。

それはさておき、今後は新たな機会が増え、活用するために多くの事を学ぶ必要がありそうです。

ライセンスと価格体系

さて、次にProject “Madeira”とライセンス体系について触れます。各アプリを利用するには、価格は約40ドルとなる予定で、例えばProject “Madeira”のみを利用するには40ドルとなります。また、例えばPowerAppsも利用したい場合は新たに40ドルが必要となりますが、今回のリリースで提供される4種類のアプリを全て利用する場合は、すべて含めて50ドルで利用可能となる予定です。更に、利用者数に応じてこの価格は下がります。また、チームメンバープラン(限定アクセスユーザー)では5ドルのみとなります。

Dynamics NAVのパーペチュアルライセンス(Perpetual License)を契約されているお客様には大幅な割引が期待できるみたいです。

新機能について

すべての機能については触れませんが、いくつかこの記事で取り上げたいものがあります。既に私は以前の投稿で、Cortana Intelligence による在庫予測についてお話しましたが、今回の発表では、Cortana Intelligenceがキャッシュフローでも適用されました。この機能はDynamics NAV 2017とProject “Madeira”でも利用可能となり、素晴らしいのが、この機能を簡単に設定し、利用できます。

新しい開発環境

新しくなったもう一つの点が、開発環境です。Visual Studio Codeが新しいコードベースの開発環境となります(詳細は別途投稿します)

Marko氏はこの新しいツールでライブデモを見せてくれました。

更に新しい開発環境において、簡単なカスタマイズができるようになります。ウェブクライアントからは、「編集」ボタンが用意され、ページを修正したり、フィールドの追加、ページの追加などが可能となります。あとは「Stop」を押して、どのようにこの開発内容を反映させたいかを選択するだけです。変更内容のプレビューは、ウェブクライアント、タブレットクライアント、スマートフォンクライアントで確認できます。変更した内容はウェブクライアントとWindowsクライアントに反映されます。(詳細は別途投稿します)

この新しい開発環境のプレビューは、クリスマスの前後にリリースされる予定です。

情報元: https://totovic.com/2016/09/27/nav-2017-official-release-date-and-news-from-directions/